パートナーの浮気を疑ったら、まずは自分でできる調査から始めようと思われるはずです。Apple社のAirTagは、安くて簡単に使える位置情報を追跡できるアイテムですが、相手にバレるリスクや注意点もあります。
この記事では、AirTagの仕組みや使い方から、法的な問題まで詳しく解説しています。プライバシーの侵害などリスクを冒さずに、浮気調査を進めるための方法をご提案します。
目次
AirTag（エアタグ）とは｜位置情報を知るためのタグ
AirTagは、Apple社が開発した小型の紛失防止タグで、紛失や置き忘れをしやすいカバンや財布、家や車の鍵など、貴重品の位置情報を簡単に見つけることができる便利な追跡デバイスです。
詳しく見てみましょう。
AirTagの仕組み
AirTagはGPSを内蔵していません。Appleの「探す（Find My）」ネットワークを利用して動作します。BluetoothとUWB（Ultra-Wide Band：超広帯域無線通信）技術を使用してiPhone、iPad、Macと連携することで、AirTagの正確な位置情報をオフラインで追跡することができます。
AirTagは、Bluetoothの通信範囲外でも、世界中に広がるAppleユーザーのデバイスが、近くにあるAirTagのBluetooth信号を検知します。その位置情報をプライバシー保護のために暗号化して、所有者のデバイスまで安全に中継するシステムです。「探す」という標準アプリケーションと連動して使用します。
AirTagの購入方法
AirTagは、Apple公式オンラインストア、Apple Store、Apple製品正規取り扱い店、ビックカメラやヨドバシカメラなどの家電量販店で購入することができます。
オンラインで購入する場合は、Appleのウェブサイトにアクセスし、Apple IDを入力して購入します。価格は、税込1個4,980円～となっており、4個パックや分割払いができます。カスタマイズの刻印も可能です。
AirTagの設定方法
AirTagを購入したら、Appleデバイスと連携するための設定を行います。AirTagをAppleデバイスに近付けると、デバイスが自動的にAirTagを検出してペアリングします。
画面の指示に従って進めば、簡単に設定ができます。アプリケーション上で、名前を付ける、音を鳴らす、「紛失モード」で周囲に知らせるなどの操作が可能になります。見つけてくれた人が連絡できるように、自分の連絡先情報を残すこともできます。
AirTagの使用方法
まず、見つけたい持ち物や車にAirTagを取り付けます。Appleデバイスで追跡するAirTagを選ぶと、近くにある場合は、音を鳴らして見つけられますし、遠くにある場合は、地図上で位置を確認することができます。紛失モードをオンにすることで、発見されたら通知が届きます。
また、置き忘れなどを避けるために、AirTagが所有者の手元から離れたら、通知を受け取るよう設定できます。また、24時間以上離れると音を鳴らし、所有者に通知します。
AirTagを使った浮気調査のリスク
配偶者や恋人の浮気を疑った時、過去に何度も浮気を繰り返しているような場合でもない限り、いきなり本格的な浮気調査を依頼することはあまりないでしょう。まずは、精神的にも金銭的にも負担のない、自分でできる簡単な調査から始める方が多いはずです。
AirTagは、位置情報追跡デバイスとして非常に便利なアイテムです。安価で手軽に使えるため、浮気調査に活用されることもあります。しかし、リスクもいくつか存在しますので、事前によく確認して、理解した上で使用しましょう。
法律に触れる可能性がある
パートナーの持ち物や車に相手の同意なくAirTagを取り付けて、位置情報の追跡を目的として使用することは、プライバシーの侵害や、個人情報保護法違反、ストーカー規制法違反、迷惑防止条例違反など、法律や条例に抵触する可能性があります。
パートナーの浮気を疑って浮気調査を始めたのに、逆に、パートナーに訴えられるという事態を招くことのないように、法的な規制に十分配慮して、慎重に使用する必要があります。
AirTagから離れると音が鳴る
AirTagは、所有者がAirTagから一定の距離を離れると、音が鳴る仕組みになっています。これにより、置き忘れに気付かせたり、不正使用を防いだりできます。
しかし、浮気調査のために、こっそりとパートナーの持ち物や車などにAirTagを忍ばせた場合、所有者であるあなたとパートナーは物理的に離れたところにいるため、音が鳴ってしまいます。
パートナーは、身に覚えのないAirTagを発見したら、自分が疑われ、監視されていることに、すぐ気付くでしょう。AirTagの電池を外したり、疑われない安全な場所に移動したりする可能性があります。
AirTagが近くにあると相手のiPhoneにも通知が届く
AirTagは、他人のAirTagが自分の近くにあると、自分のiPhoneに通知が届く仕組みになっています。これにより、誰かが自分を追跡している可能性を警告します。
そのため、AirTagを使って、パートナーに内緒で浮気調査を行った場合、パートナーに通知が届くことで発覚してしまう可能性があります。
Appleが不正利用対策を行っている
AirTagの便利な機能を悪用して、ストーキングや自動車泥棒、個人情報の窃取などが行われる事例が多数報告されています。Apple社は、このようなAirTagの不正利用を避けるため、さまざまなセキュリティ対策を講じています。
警告の表示
最初の設定を行う際に、AirTagは自分の持ち物を追跡するためのものであり、同意なく追跡目的で使用することは犯罪である、追跡された人がAirTagを見つけられるようになっている、などの警告を表示します。
追跡の通知
プライバシーを保護するため、他人のAirTagが自分と一緒に移動していることを検出すると、自分のiPhoneに、未知のAirTagの検出と追跡の有無を確認する通知が届き、音を鳴らします。
正確な場所の確認
追跡の通知を受けとった場合、その未知のAirTagを簡単に見つけられるようにするため、自分とAirTagまでの距離と方向を確認したり、音を鳴らしたりできます。
また、AndroidユーザーがAirTagを悪用された場合の対策として、Google社も他人のAirTagの検出や発見、追跡履歴の確認などができる機能を提供しています。
AirTagを浮気調査に使うときの注意点
AirTagを浮気調査に使用するリスクを理解した上で、使うことを決めた場合に、いくつかの注意点があります。
使用はできるが万能ではない
AirTagは便利なアイテムですが、私物の紛失防止を目的に設計されているため、浮気調査においては限定的な用途しかありません。パートナーの持ち物や車などにAirTagを取り付けることで、位置情報を把握することはできますが、パートナーがAirTagに気付いて意図的に外す可能性もあります。
また、これを逆手にとって、監視に気付かないふりをしてAirTagの機能を利用し、自分の他の持ち物に付け替えたり、職場に置いておくことで残業を偽装したりすることも考えられ、完全に追跡は保証されません。
また、把握できるのは位置情報だけであって、パートナーの行動を完全に把握することはできません。浮気調査の手がかりにはなりますが、浮気が完全に立証できる訳でもありません。
パートナーや一緒に行動している浮気相手を尾行して直接目撃する、写真や動画を撮影するなど、他の方法と組み合わせる必要があります。また、使い方によっては、問題を引き起こすリスクもあるので、十分な注意が必要です。
AirTagを使いたいならリスクを理解しておく
AirTagを使用して浮気調査を行う場合、前述の通り、リスクがいくつも存在します。
プライバシーの侵害など、法的な問題に発展する可能性も高く、また、パートナーに内緒で追跡アイテムを使用したことが発覚した場合は、浮気の事実の有無にかかわらず、お互いの信頼関係が損なわれ、調査が原因で関係が悪化する可能性もあります。
リスクを十分に理解した上で、本当に適切に活用できるのか、考えることが大切です。
自分で浮気調査をする方法
それでは、パートナーに浮気の疑いがある場合、どうすればいいのでしょうか。
専門家に依頼すれば、違法な行為をする危険もなく、浮気を立証できる確実な証拠が手に入るとは言え、やはり、探偵や弁護士に依頼することに慣れている方はとても少ないため、心理的なハードルも高く、金銭的な負担も大きいでしょう。
そのような時は、自分でできる調査から始めるといいでしょう。AirTagを使わずに浮気調査をする方法をご紹介します。
位置情報共有アプリを使用する
スマートフォンに位置情報共有機能アプリをインストールし、パートナーの位置情報を追跡する方法があります。パートナーと位置情報を共有することで、リアルタイムで移動履歴を確認することができます。
ただし、パートナーが位置情報共有をオフにしている場合は使用できません。また、同意なく使用すると、AirTagと同様、プライバシーの侵害やストーキングなどに当たる可能性がありますので、注意が必要です。
SNSアプリを使用する
パートナーがSNSを利用している場合、定期的にアカウントをチェックすることで、投稿された写真や動画、投稿場所から行動パターンを把握したり、写真や動画に一緒に写っている人物から浮気相手を特定したりする方法があります。
頻繁に行っている場所や、頻繁に登場する人物には、特に注意が必要です。その情報を基に、次にパートナーが浮気相手と会う時間や場所を推測し、自分で張り込みや尾行をすることも可能になります。
相手の持ち物をチェックする
パートナーと同居している場合や、頻繁に会っている場合は、相手の持ち物をチェックする方法も有効です。これも、内容や方法によっては、不法行為になってしまう可能性がありますので、注意して行いましょう。
パソコンやスマートフォンで、メール、LINE、SNSのDMなどのメッセージのやり取りをチェックする
特定の人物と頻繁に連絡を取っている、明示的・暗示的に浮気に言及している、仕事関係者のような名前で登録されているのに、恋人関係のような内容になっている、分かりにくい名前や場所にして隠しているなど
パソコンやスマートフォンで、通話履歴、アプリ利用履歴、サイト閲覧履歴をチェックする
特定の人物と頻繁に連絡を取っている、外食や旅行の計画を立てていることが伺われる、浮気や不貞行為を示唆する内容になっている、出会い系アプリを利用しているなど
パソコンやスマートフォン、CDやDVDで、保存している写真や動画をチェックする
普段の会話に全く出てこないのに親密そうな人物がいる、仕事や趣味の仲間に親密そうな人物がいる、仕事や趣味のもののように偽装している、仕事をしているはずの時間に違う場所や人といるなど
手紙、手帳、日記、メモ、郵便物をチェックする
浮気相手からの手紙、パートナー以外の異性を感じる筆跡、異性が好みそうなデザインの手帳やメモ帳、仕事でもプライベートでも行ったことがないはずの場所からの郵便物など
カバンや財布、洋服のポケットの中をチェックする
デートの証拠となるレストランのレシートや、映画やコンサートのチケット、旅行の証拠となるホテルの領収書や町の地図、異性からのプレゼントを想起させるもの、仕事のカバンに仕事と関係ないものなど
ゴミ箱に捨てられているものをチェックする
ビリビリに細かく破って捨てられている、封筒の中やゴミ箱の奥に隠している、他のゴミに紛らわせているなど
Apple Watchなど、ウェアラブルデバイスをチェックする
浮気相手と会う場所や日時を推測できる位置情報やカレンダーアプリ内の予定、浮気の状況や内容が推測できるメッセージやSNSの通知、不自然な時間の心拍数の急上昇など
普段あまり使わない机の引き出し、本棚、本の間をチェックする
不自然に隠しているものがあるなど
車をチェックする
座席の隙間、灰皿、ごみ箱、トランクなどに、他人のもの（特に異性のもの）が忘れられている、駐車場のチケットや車載GPSに残っている位置情報や履歴に、レストランやホテル、観光地、普段行かない場所の記録が残っているなど
自分で調査した情報を有効活用して、探偵に相談する
自分で浮気調査を行うことに難しさを感じた時や、時間的・精神的に継続が困難という時は、それまでに自分で調査した情報を有効活用して、探偵に相談することもできます。
また、自分である程度の情報を収集した上で、探偵と協力、連携しながら、更なる浮気調査を進める方法もあります。
探偵は専門家として、知識や特別に許された調査方法もあり、合法的な手段を使用して、法的に有効で質・量共に十分な証拠を収集することができます。情報収集後に示談や調停、裁判に進む場合、法的な観点からアドバイスすることも可能です。
Q&A｜AirTagを使った浮気調査でよくある質問
ここでは、AirTagを使用した浮気調査に関して、よく頂く質問に簡単にお答えします。
AirTagを車に取り付けたらバレる？
AirTagを車に取り付けたら、バレる可能性が高いです。
理由は、AirTagのセキュリティ対策として、一定の時間や距離を離れると音を鳴らしたり、未知のAirTagと行動を共にしていると近くのiPhoneに通知をしたりする機能が備わっているためです。
AirTagを使うと法律違反になりますか？
AirTagを使うと、使用方法や設置方法によっては法律違反になる可能性があります。
理由は、日本ではパートナーを追跡する目的でAirTagを使用することはストーカー規制法違反に当たる場合があること、パートナーの同意なくAirTagを取り付けることはプライバシーの侵害に当たる場合があることです。
AirTagを使ってバレずに浮気調査する方法はありますか？
パートナーにバレることなく、AirTagを使って浮気調査するのは難しいでしょう。
理由は、AirTagの特徴として音や通知で周囲にその存在を知らせようとするアイテムだからです。そもそも、秘密裏に取り付けること自体が、法律に触れる可能性もあります。AirTagを使わない調査方法を検討することをおすすめします。
調査事例
AirTagを使用した浮気調査の調査事例をご紹介します。
- 調査依頼者：彼女Aさん
- 調査対象者：彼氏Bさん
AさんとBさんは、30代前半の婚約中の恋人同士です。お互い仕事が忙しく、急な残業や出張も多いため、急に会えなくなることも珍しくありませんでした。
しかし、今までは仕事の話や人間関係について詳しく話していたBさんが、急に言葉を濁したり、目をそらしたり、話題を変えたりすることが増え、AさんはBさんの浮気を疑うようになりました。
AさんはBさんが社用車にもしている車にAirTagをこっそり取り付けました。残業と言っていた日に自宅にいたことや、退社後にホテルに行ったことが確認できました。BさんはiPhoneユーザーではなかったこともあり、AirTagが設置されたことに気付かなかったようです。
しかし、これだけでは浮気の決定的な証拠にはならず、浮気相手を特定することもできなかったため、探偵事務所に協力を依頼することにしました。
探偵の調査により、結果的に、長期間にわたる浮気の事実が発覚して、AさんはBさんとの婚約を破棄することを決め、Bさんと浮気相手に慰謝料も請求しました。
まとめ
AirTagは、紛失したり置き忘れたりした持ち物を見つけるための便利なアイテムですが、浮気調査に流用することは得策とは言えません。法律違反になる可能性、パートナーにバレて信頼関係が損なわれるる可能性など、多くのリスクが伴うためです。
犯罪防止とプライバシー保護の観点から、他人を無断で追跡する行為に対する規制は、ますます厳しくなっています。追跡ができる商品を販売する企業も、セキュリティ対策を強化しています。使用する場合は、合法的な範囲で、必要最低限の使用とすることをおすすめします。
浮気調査には、さまざまな方法があります。自分ですることも、専門家を頼ることもできます。リスクの高いAirTagだけに頼らず、時と場所に応じて、複数の調査方法を組み合わせて進めることが大切です。
専門的な調査が必要な場合や、法的な問題に直面した場合などには、探偵や弁護士などの専門家に相談して、アドバイスを求めるのもいいでしょう。
