浮気調査を依頼されるお客様は、調査報告書とはどのような内容になっていて、それをどのように活用できるのかという事が、気になっている方も多くいらっしゃると思います。
探偵が行う浮気調査の業務において、調査の報告書というものはお客様にお渡しする唯一の成果物となるものです。言わばお客様は浮気調査の報告書でしか探偵の業務を確認することは出来ず、探偵を評価する上でもとても重要な部分と言えます。
本記事では、浮気調査報告書の基本的な内容や、チェックするポイント、どのような意味があり何に活用できるのか、など効率の良い活用法を解説いたします。
目次
一般的な浮気調査報告書とは
※画像は調査報告書の例(サンプル)の一部です
浮気調査の報告書は、時系列に説明された調査対象者の行動及びその場面の写真が記載されたものが一般的になります。
他にも時系列のみ最初に記載し写真は最後にまとめてアルバムのように張り付けている形式や、動画を使って説明するなど会社によって様々な形式がありますが、時系列の説明とその場面の写真がリンクされている事で全ての行動が分かり易く伝えられる為、上記のような形式が最も多く使われているのが現状となっています。
そもそも浮気調査報告書の内容とは
浮気調査の報告書は浮気調査を行った探偵が、見たままありのままの内容であることが大原則で、そこに主観はなく客観的な内容のみが真実となります。
小説ではありませんので探偵個人の推測や意見は必要ありません。それゆえ「客観的事実を証拠として記録する」探偵の調査能力が何よりも重要であることは間違いありません。
ここでいう探偵の能力とは最も基本的な「尾行・張り込み・撮影」の能力で、それを「行動調査力」といいます。浮気調査に関して言えば、調査対象者の全行動を確認できていれば、浮気をしているのかどうかは必ず判明します。
その為には「張り込み・尾行」を駆使して、対象者を見失うことなく密会現場を捕え、そこでの様子を記録する必要があり、そしてそれを客観的に明確にするためには浮気の決定的場面を「撮影」した写真や動画が必要となってきます。調査を行った探偵が見たというだけで、それを証明するものが無ければ意味が無いのです。
裁判でも使える調査報告書とは
浮気調査の報告書は、慰謝料請求や離婚裁判などの証拠資料として使用する前提で作成されていることがほとんどです。
浮気や不貞行為の証拠とは、密会現場や肉体関係があると断定できる客観的な物証の事を指します。以下は裁判でも通用するラブホテルへの出入り場面の報告書例となります。
※画像は調査報告書の例(サンプル)の一部です
言い逃れのできない証拠として以下の各項目がポイントとなります
- ホテルに入る瞬間と出る瞬間の写真が撮れている
- 言い逃れできないくらい鮮明な2人の顔写真が撮れている
- 何時から何時まで何時間どの部屋に滞在したのかが判明している
- 車両でホテルに入った場合はその車両に間違いなく2人が乗っていたことが分かる写真がある
- ホテルの駐車場に止まっている車両のナンバーがきちんと確認されている
- ホテルから出て車両に乗り込む場面や駐車場から車両で出てくる瞬間が撮影されている
- 浮気相手がどこの誰なのか判明している
問題がある調査報告書とは
浮気調査を行う上で不測の事態が生じることはどうしても避けられません。予想外の出来事や想定外の行動など調査を妨げる事態が起こることはあります。
また、探偵は人間ですから、ミスもありますし失敗することもゼロとは言えません。勿論プロの探偵として恥ずべき事ではありますが、事実は事実、失敗は失敗で包み隠さず報告する事がなによりも大切です。
失敗するよりも問題なのは、言い訳にしか感じられない内容が記載されている事や、確証が無く憶測にすぎない内容があり信憑性を疑わせる報告書になってしまう事です。そうなると上手くいっている調査の証拠までもが疑わしく感じられ、総合的に判断して裁判資料としては採用されない報告書となってしまうこともあります。
当社ではセカンドオピニオン的な意味合いで弁護士や専門家から紹介された、他社で以前に調査を行った案件を手掛ける事も多くありますが、問題のある調査報告書の特徴として以下のようなものがありました。
- 報告書が文字ばかりで写真が少ない
- 肝心な場面の写真が取れていない
- 確証がなく憶測のような内容の記載がある
- 推測ばかりで信憑性に欠ける
- 写真などの証拠と矛盾する内容が記載されている
- 違法な手法で証拠を収集している
優秀な探偵が行っている証拠収集の方法とは
浮気調査の報告書に必要な事は、極論を言えば対象者の行動が全て撮影されているということです。そうすれば文言などなくても写真を見るだけで全行動が分かり、もし浮気をしていた場合、その場面の写真があれば十分な証拠となります。
仮に浮気をしていない場合でも、全行動を写真で確認したうえでの潔白なのであれば、それ以上の証拠はあり得ないでしょう。
しかし実際の調査現場では想定外の事態が起こることが良くあり、調査対象者も全くの無警戒という事は無く、中にはかなり警戒をしている対象者もいます。
あまりにも全行動の写真を撮影する事だけにとらわれていては、尾行が失敗して対象者を見失ってしまう事や、警戒していて勘の鋭い対象者には尾行をしている事が発覚してしまう危険性があるのです。
そのため本当に優秀な探偵はそのようなリスクを考慮して、安全なのか危険なのかを嗅ぎ分け、絶対に必要な場面と無理をしなくても良い場面でのポイントに絞って調査手法を使い分けています。それにより対象者に発覚するなどのトラブルを起こすことなく、裁判で重要となってくる証拠を確実に収集する事が出来るのです。
<優秀な探偵が考える証拠収集のポイント>
証拠の重要度 | リスク | 収集するポイント |
重要度(高)ラブホテルの出入りなど裁判資料として絶対に必要な証拠 | 収集する為のリスク(低~高)この部分のみ警戒している対象者も多くかなり難易度が高くなる場合がある | リスクの有無に関わらず必要と考えて調査を組み立てる※場合によってはリスクを冒してでも収集する |
重要度(中)キスやハグ手を繋ぐなど決定的証拠を補助する役割の証拠 | 収集する為のリスク(低~中)人によっては警戒心が高い場合があり注意が必要なケースも | リスクが低い場合は積極的に収集するが、高くなるにつれ状況判断が必要 |
重要度(低)立ち寄り先や会話内容などあれば良い程度の証拠 | 収集する為のリスク(無~低い)この部分で警戒しているケースはあまりない | 基本的にはリスクが無い場合のみ収集する※リスクを冒して収集する価値が無いと判断する |
証拠として通用するケースと証拠不十分のケース
場合によっては調査対象者の全行動を、ひとつ残らず撮影することが難しいケースがあり、優秀な探偵は「証拠として絶対必要な部分」と「無理をする必要が無い部分」を良く理解していて、状況によりポイントを絞った調査を行うことは前述したとおりです。
以下では裁判資料として証拠が通用するケースと不十分と判断されるケースを解説しています。
ケース1
調査対象者 | 対象者(以下Aとする)と、浮気相手(以下Bとする) |
証拠の部分 |
・AとBの合流した場面 ・喫茶店に入った場面 ・喫茶店内での様子 ・喫茶店を出た場面 ・ラブホテルの出入りの場面 |
AとBは「JR新宿駅」構内で合流し、直後に付近の喫茶店に入り談笑していた。その後「歌舞伎町」のラブホテルに向かったが、AとBは喫茶店を別々に出て、ラブホテルにも時間差で入室した。当然、出る時も時間差で出てそのまま別々に帰宅した。
証拠不十分のケース
理由:人ごみに紛れ撮影が困難だった為
理由:警戒を考慮し店内の入店を控えた為
理由:先に出たAのみを尾行した為
理由:Bは先に入っていた為
< 結果 >
その後、時間差で別々にホテルを出たA・Bは撮影できたものの、弁護士の判断では「JR新宿駅」構内で合流し喫茶店で談笑していた部分と、ラブホテルに時間差で入室した部分の証拠が不十分となり再調査を実施した。
証拠として通用したケース
理由:「JR新宿駅」構内でのAの行動から待ち合わせを察知し、一瞬のポイントを逃さず人ごみでの撮影を成功させた。
理由:警戒を考慮したが、死角になるポイントを発見し安全に撮影した。
理由:先に出たAと時間差で出たBを、別々に撮影、それぞれを尾行し時間差でラブホテルに入室する一連の行動を詳細に撮影した。
< 結果 >
その後、時間差で別々にホテルを出たA・Bを撮影し、Bの素性を調べるために尾行、帰宅先を割り出した。ラブホテルに時間差で入室するなどの警戒行動を取る不倫カップルは珍しくは無く、調査を行った探偵の経験値が勝った案件であった。一連の流れを全て撮影できている事から文句のない証拠として採用された。
ケース2
調査対象者 | 対象者(以下Cとする)と、浮気相手(以下Dとする) |
証拠の部分 |
・浮気相手が車両に乗車する場面 ・ラブホテルの出入りの場面 ・Dが車両を降車し帰宅する場面 |
Cが運転する車両は「目黒駅」ロータリーで停車し、ほどなくDが助手席に乗車した。発進した車両は「目黒通り」を走行し目黒区内のラブホテルに入った。数時間後にラブホテルを出た同車両は品川区内の住宅街の路地で停車、しばらくしてDが降車し目の前のマンションに帰宅した。
証拠不十分のケース
理由:一瞬の事で撮影が間に合わなかった為
理由:走行している車両の撮影が困難だったため
理由:ホテルを出る際とその後の車両追尾で距離を詰めすぎた為、警戒を恐れ人気のない住宅街での撮影を控えた。
< 結果 >
CとDが一緒にラブホテルに入った確固たる証拠とは言えず、弁護士の判断で証拠不十分となり再調査を実施した。
証拠として通用したケース
理由:待ち合わせを察知し一瞬のポイントを逃さず、乗車する瞬間の撮影を成功させた。
理由:証拠として重要な場面なので多少無理をしてでも突っ込んだ事が幸いした。
理由:すでに決定的な証拠を撮影できていたので、ホテルからの出は無理をせず死角から撮影し、その後の追尾を慎重に行えた。
< 結果 >
証拠として必要な部分が全て撮影されており、文句のない証拠として採用された。
浮気調査報告書の活用法とは
多くの人は浮気調査で証拠を収集すれば、それだけで安心と思われています。勿論証拠は大切ですし、証拠が撮れている事が大前提で、証拠が無いことには何も始まらないのは間違いありません。
しかしその証拠をどのように活用すれば良いのか、効率的な活用法というのは案外皆さん知らないものです。ここでは浮気調査報告書の活用法を解説いたします。
まずはどうしたいのかを決める
- 離婚して、配偶者と浮気相手に慰謝料請求をしたい
- 離婚して、配偶者のみに慰謝料請求をしたい
- 離婚はしないが浮気相手には慰謝料請求をしたい
- 慰謝料請求よりも浮気相手と別れさせる事が優先である
- 復縁を望んでいるのでもう二度と会わないと約束させたい
- 離婚はしないが別居し婚姻費用を請求したい
様々なケースがありますが、どのような場合でも浮気調査報告書は浮気の事実を証明し、浮気相手の素性を追及する材料として必ず必要となってきます。
まず離婚をして慰謝料を請求したい場合は配偶者へ離婚の申し立てを行い、その条件の中に不貞行為の慰謝料請求が含まれている場合が多く、その他財産分与や養育費等と合算して請求する方法が一般的な進め方になります。
その際、浮気相手への慰謝料請求は別件として扱うのが通常で、離婚の申し立てとは別に浮気相手への慰謝料請求の訴訟を起こす場合は、浮気相手の身元が判明している必要があります。
離婚はしたくないが浮気相手にのみ慰謝料請求をしたい場合は、配偶者と浮気相手の現在の関係性に注意しなければなりません。このケースでは配偶者に不貞の事実を突きつけて完全に非を認めさせ、浮気相手との関係を完全に断ち切らせなければ話がスムーズに進まないことがあります。
まだ浮気相手に未練があると、相手を庇ったり、相手に慰謝料請求した事が原因で夫婦の関係が悪化する場合や、慰謝料を配偶者が肩代わりして浮気相手と元サヤに戻っていたというケースもありますので、そのような場合は、言い逃れのできない浮気の証拠を突きつけ、それを元に公正証書を作成し、もう二度と会わないという内容で、約束を破ったら違約金が発生する仕組みを構築しておくことも大切です。
この方法は、慰謝料よりも浮気相手と別れさせる事が優先である場合や、復縁を望んでいるのでもう二度と会わない約束をさせたいケースでも使えるやり方となります。
とりあえずは離婚をせずに別居して婚姻費用を請求したいという方もいらっしゃいます。このケースは、離婚条件で揉めていて話がつかない状態や、将来的には離婚を考えているが現在は様子を見ている妻に多く、まだ子供が小さく自身が働きに出られないなどの問題があり、当面の家賃や生活費を負担してもらいたい場合に適した方法でもあります。
浮気をした夫は有責配偶者となり、夫側からの離婚の申し立ては基本的には認められませんので、夫が完全な有責配偶者であると証明する為の、裁判でも認められる浮気調査報告書は必ず必要となります。そのうえで、とりあえずは顔も見たくない夫と別居し婚姻費用を請求しながら、今後の事を考えるというのも方法の一つだと思います。
浮気調査報告書の有効活用法の実例
以下では弊社が実際に浮気調査を実施し、収集した証拠から作成した浮気調査報告書を有効活用する為の、調査員とクライアントのやり取りを解説しています。
今回の調査で不貞行為の証拠を2回撮影し、浮気相手の身元も判明させました。Aさんの希望では、夫と浮気相手に慰謝料を請求したいとの事でしたが、離婚はお考えですか?
夫と浮気相手の出方次第ですが、離婚もやむを得ないと考えています。
証拠や調査報告書は裁判でも通用する内容となっており、もし争うことになっても問題ありません。夫への離婚申し立ては相手がどう出るかによって考えるのであれば、まずは夫に対して不貞の慰謝料請求を行う意思表示をする必要がありますが、どのように進めていくかお考えですか?
弁護士に頼もうかと思っていますが、何か他に良い方法ありますか?
弁護士には今後お願いする必要があると思いますが、まずはご自身で夫と話し合うというのも手段の一つです。もう顔も見たくないし話したくもない、絶対に離婚したいというのであれば、弁護士に依頼して代理人として話を進めてもらう方が良いですが、夫の出方次第で考えたいとのことなので、いきなり弁護士が間に入ると、夫も身構えて代理人を立ててくる可能性があります。そうなると自然と争う方向に向かっていきやすい傾向があります。
なるほど、、、でもどのように話せばよいのでしょうか?
単刀直入に「あなたが浮気をしている事は分かっている」と話したらいかがでしょうか?
でも素直に認めるとは思えません。
あっ、、、調査報告書を見せればよいですね。
いきなり見せる必要はありません。まずは判明している事実を小出しにして、少しずつ問い詰めていくほうが効果的です。
例えば、まずは浮気相手の氏名と住所を言ってみるとか
ただの同僚だとか、必ず言い訳をしてきそうです。
デート中のツーショット写真を見せても良いと思います。どうしても認めない場合はラブホテルの出入り写真を一枚だけ見せるとか。でも報告書をそのまま全て見せてはいけません。こちらの手の内が分かってしまいますので、相手にはずっと前から調査をされていて、どこまで証拠を握られているのか分からなくさせるのが、有利に話を進める秘訣です。
なるほど、、では事前に話の進め方を考えて写真や材料を揃えておく必要がありそうですね
はい。例えば今回は2回の不貞証拠を収集していますが、小出しにした証拠を元に上手く追及して、相手が自ら新たな事実を自白するように誘導する事も出来ます。調査で判明していないことでAさんが必要としている情報なども、上手く自白させる質問や切り出すタイミングなども事前にシミュレーションしておくことが大切です。そして話し合いの時は必ずボイスレコーダーで録音しておいてください。
わかりました。浮気相手への慰謝料請求はどうなりますか?
それも話し合いの際に、夫に浮気相手への慰謝料請求も行うつもりでいることを伝えてください。夫の対応で今現在の浮気相手との関係や、夫がどのように考えているのかが分かるかもしれません。それを判断材料にAさんがどう考えるかだと思います。
浮気相手への慰謝料請求は夫次第という事でしょうか?
いえ、それは別問題と考える人もいますし、最終的には慰謝料請求を行うケースも多くあります。ただ、夫が浮気相手と別れるからやり直したいと言ってくる場合もあり、Aさんが仮にそれを受け入れる場合は、相手に慰謝料請求をするより、もう二度と夫と会わない誓約書を公正証書で結び、それを破った際の違約金を設定する方が、今後の為には良いかもしれません。
それでは浮気相手への制裁は無いという事になりませんか?
はい、今回に関してはそうなります。勿論それでは許せないという方も多くいますので、理想としては慰謝料も請求しつつ誓約書を公正証書で結ばせるやり方となりますが、公正証書は、当事者双方が同意し作成するのが通常となっています。もし浮気相手が協力してくれない場合は作成する事が難しくなってきますので、今回はあえて慰謝料を請求しないことを条件に、公正証書を結ばせる事を優先とする考え方もあります。あくまでも夫が浮気相手と別れるからやり直したいと言ってきた時に、Aさんがそれを受け入れる場合に限りですが
そうですか、、、
やり直すのであれば今後の抑止力にもなりますので公正証書のことも検討する価値はあると思います。どちらにしてもまずは話し合いをしてみてAさんがどう判断するかが全てではありますが、事前にいろいろな準備をしておくことで選択肢が広がると思います。こちらでも弁護士の見解を聞き、どう転んでも迅速に対応できるように手配をして引き続きサポートしていきます。
ありがとうございます。
浮気調査報告書の内容と有効活用法まとめ
いかがでしょうか?浮気問題にはパートナーや浮気相手が存在し、相手の出方や現在の状況によって主張すべき内容を考える必要がある場合もあります。
それらに対応する為、さまざまなケースに適した証拠の収集法と、その証拠を有効活用する方法は、浮気問題でお悩みの方を理想とする解決へと導く為に必要なことです。
この記事では浮気調査報告書の内容や、証拠として通用するポイント、証拠不十分になった報告書の実例などを解説し、また、裁判でも通用する調査報告書が作成されている事は大前提ですが、その証拠をどう活用するかが何よりも大切なことだと説明してきました。浮気問題でお悩みの方は是非参考にしていただければ幸いです。