家族や近しい人が家出したり行方がわからないというとき、行方不明者届(捜索願)を警察に提出します。いなくなった人を探すためにとても大切な手段のひとつですが、いつどのように出すのかを迷われるかもしれません。
こちらのページでは、行方不明者届(捜索願)について、具体的な提出方法や必要なもの、捜索願を出すべき理由について現役探偵が解説します。
目次
警察に行方不明者届(捜索願)を出すべき理由とは
警察に行方不明者届(捜索願)を提出するのは、いなくなった人を探してもらうためです。
ただし、行方不明者届(捜索願)を出せば自動的に警察がその人を捜してくれるというものではありません。
家出した人が成人で事件性がないと判断されれば基本的に積極的な捜索はされません。とはいえ、行方不明者届を提出することで該当の人は警察のデータベースに登録されますので、それによって何かの事件の関係や、職務質問から居所がわかることがあります。
また、行方不明者届を出すことで、先々で何か問題が起きたときの助けにもなるでしょう。
そのようなことから、目先の事情にとらわれずにまずは届け出を出しておくことが望まれます。
一般家出人と特異行方不明者の違いとは
行方不明者届(捜索願)を受けて警察では、その人が一般の家出人なのか特異行方不明者にあたるのかの判断がされます。
特異行方不明者とは、事件性や緊急性があると判断される事案です。家出した人が未成年、特に年齢の低い子どもであったり高齢者であるケース、何かの事件に関わっている可能性がある人がこれにあたり、特異行方不明者と判断されれば警察の捜査対象になります。
家出した人が特異行方不明者にあたるかどうかは、年齢や本人の特性だけでなく状況などを踏まえて総合的に判断されます。
一般の行方不明者なのか特異行方不明者なのか、個人で決めつけたりせずにまずは警察に届け出て判断を委ねましょう。
行方不明者届(捜索願)を提出できる人
行方不明者届(捜索願)は誰でもが出せるものではありません。提出できる範囲が決められており次の人がそれにあたります。
- 行方不明者の親権を行う者・又は後見人
- 行方不明者の配偶者(事実婚を含む)・その他の親族
- 行方不明者を現に監護する者
- 福祉事務所の職員や行方不明者の福祉に従事する者
- 行方不明者の同居人・雇い主、その他行方不明者と社会生活において密接な関係を有する者
となっています。
いずれにもあてはまらないケースや、特殊な事情がある場合は個別に判断されますので最寄りの警察署に相談してください。
警察に行方不明者届(捜索願)を出す方法
家族が家出をしたときに出す行方不明者届ですが、どこにどのタイミングでどのようなものを持って届け出ればよいのでしょうか。
警察に行方不明者届(捜索願)を出す具体的な流れと方法についてわかりやすく解説します。
行方不明者届(捜索願)を出す場所と流れ
家族が家出をしたり行方がわからないときは、できるだけ速やかに110番連絡をするか、警察に出向いて届けを出します。
届け出を出すのは、家出した人に関係する地域を管轄する警察署です。家出した人が居住する地域、またはいなくなった場所を管轄する警察署か、家出した人を探している人が居住する警察署に届け出ることになります。
ただし、緊急性があったり何かの事情ですぐに所轄警察に行けないのであれば、最寄りの警察署にまず相談してください。
警察署に行き行方不明者届を出したいと申し出れば、担当の部署で対応が受けられます。
届出用紙に必要事項を記入して、状況に応じて聞き取りを受けて提出となります。
行方不明者届(捜索願)の提出に必要なもの
行方不明者届の提出時に必要なものは次の通りです。
- 行方不明者の写真
- 届け出る人の身分証
- 行方不明者が残したメモや手紙など関係資料
となっています。
ほかにも、届け出と同時にできるだけ詳細な情報を提供するのが望ましいことから、家出した本人の血液型や本籍地の住所情報、身長や体重といった身体特徴をわかるようにしておくと良いでしょう。
わかる範囲で構いませんので、家出したときの服装や持ち物、病気やケガの既往歴があればそれも大切な情報になります。
家出の理由に心当たりがあるなら、そのことを警察に話しておくと何かの手がかりになるかもしれません。
行方不明者届(捜索願)を出した後にすべきこと
先にもお話しましたように、警察は行方不明者届が出された全ての事案の捜索を行うわけではありません。
特に一般成人で、本人の意志を持って家出したと考えられるケースでは警察が積極的に動くことはないと考えるべきでしょう。
だからといって、まったく期待せず放っておけば物事は進展しません。自らこまめに警察に連絡をして新しい情報がないか確認することをおすすめします。
また各都道府県の警察署ではインターネットで行方不明者情報を提供しています。こちらも適宜チェックして活用してください。
家出した人をみつけたいのであれば、警察からの連絡を待つだけでなく、自分で動いて探す必要があります。もちろん個人でできることには限界がありますので、できるだけ早く確実に探したいのであれば探偵の手を借りることを検討してもよいでしょう。
行方不明者届を受けた警察の動き
行方不明者届を受けて、特異行方不明者と判断されれば警察の捜査対象になります。事件や事故といったあらゆる側面で捜査がなされますので、家族は積極的に情報を提供して警察に協力するのが望ましいでしょう。
一般の行方不明者と判断されたのであれば、積極的な捜査の対象にはなりませんが、警察の業務の中で本人に行き当たることがあります。家出した人が事件や事故の関係者になった場合や、職務質問に合うケースがこれにあたります。
未成年者であれば職務質問がきっかけで保護にいたり、解決するケースがみられます。
家出した人が成人であれば、行方不明者届(捜索願)が出されていることを本人に告げるだけになります。そこで保護して家族との面談につなげてもらえることは基本的にはありませんが、どこで見かけたかという情報が家族に知らされることがあり、それは大きな手がかりになり得ます。
ただし、ひとつ例外があり行方不明者届を警察が受け付けないケースがあります。それは、家出した人が成人で、その人が何らかの事情を警察に相談していた場合です。事情を鑑みて居所を知らせない方がよいと警察が判断すれば行方不明者届は受理されないとなっています。特殊なケースではありますが、念のためご留意ください。
警察に行方不明者届を出すデメリット
メリットがあればデメリットがあるのがこの世の理ですが、警察に行方不明者届を出すデメリットがあるのではと気になるかもしれません。
行方不明者届を出したところで、社会的ペナルティや問題が起きることは基本的にはありません。何かの事情でこちらが探していることを家出した人に知られることがどうしてもイヤだというケースをのぞき、行方不明者届のデメリットはないと考えてよいでしょう。
警察に届け出ることに心理的ハードルがある方もいますが、家出した人を守り安全に帰ってきてもらうために、行方不明者届(捜索願)を出すことをおすすめします。
家族が家出したら探偵を利用すべきなのか
家出した人を探す方法のひとつが探偵に調査を依頼することです。探偵に依頼した方が良いケースについてみていきます。
まず、家族が家出して何からどうやって動けば良いのかわからないときに、探偵を利用するのもひとつです。相談があれば、警察への届け出方法や、家族として何ができるかを含めて探偵がアドバイスし、その上でプロの手段を持って調査を行い速やかな解決を目指します。
もうひとつは、警察に届けた後に独自で行う調査を確実に行いたいケースです。前述の通り一般の家出の場合、警察の積極的な捜索は期待できません。また、特異行方不明者と判断されたケースでも、大きく取り扱ってもらえるとは限りません。納得できるまで調査して積極的に探したいときに探偵が役立ちます。
家出した人を探す場合、基本的には家族が主となって探すしかありません。個人での調査に不安がある場合には探偵の利用をご検討ください。
まとめ:家出人の捜索は丁寧な調査と継続が大切
警察に行方不明者届(捜索願)を出すときの具体的な方法や、それを提出する意味、そして出した後にどう行動するのがよいのかについて解説しました。
家族が家出したのであれば、できるだけ速やかに行方不明者届の提出をおすすめします。それと同時に、あらゆる手を尽くして家出した人を探さなければなりません。
家出した人を探すのは正直なところ簡単ではありません。また、家出したときから時間が経過すればするほど解決は難しくなり、不安も募るでしょう。
良い結果にたどり着くためには、丁寧かつ地道に継続的な調査を続けるのが一番の方法です。
とにかく諦めずにできることをやっていきましょう。
あなたの大切な方が少しでも早くみつかることを心よりお祈りしております。