目次
探偵の個人情報調査は違法性があるのか
みなさんは探偵といえば、どんなイメージを思い浮かべますか?
代表的なものとして、特定の個人に対して聞き込みをしたり、尾行や張り込みをしているといったイメージが思い浮かぶのではないでしょうか?
実際に探偵は、調査の手段としてこれらを行います。
しかし、一般人が特定の個人の尾行や張り込み、さらに盗撮や盗聴を行えば、ストーカー規制法に反したり、プライバシー権の侵害に該当するおそれがあります。
そのため、基本的にこれらの行為によって他人の個人情報調査を行うことは、違法であるといえるでしょう。
では、探偵は法律に反して個人情報調査を行っているのでしょうか?
結論から申し上げると、探偵の個人情報調査は違法ではありません。
その点について解説します。
探偵が行う調査は法律で認められている
探偵が行う個人情報調査は、『探偵業法』という、正式に定められた法律によって認められています。
探偵業法2条を参照すると、
「①他人から依頼を受け、その依頼に関する対象者の情報収集をし、②聞き込み、尾行、張り込み、それに似た方法によって情報収集を行い、③その調査結果を依頼者に報告する業務が探偵業である」
と定義づけられています。
そして、同法第4条には、
「適切に届け出を行えば、探偵業を営むことが認められる」
という旨が記載されています。
つまり、探偵業自体が適法なものであり、さらにその調査として、聞き込み、尾行、張り込みなどを行うこと自体も法律によって認められているということになります。
反対にいえば、探偵業の届け出を行っていない一般の個人が、このような調査を行うことは、違法であるということになります。
探偵はどうやって個人情報を調査するのか
ここまでで、探偵が行う個人情報調査が法律によって認められていることを確認できました。
探偵は、対象人物の氏名や住所などの個人情報に加え、行動や素行など、あらゆる情報収集のために、様々な方法によって調査を行います。
実際に探偵が行う情報調査の方法について詳しく見ていきましょう。
張り込み
張り込みは、「ある一定の場所に待機し、対象人物を監視する調査方法」のことをいいます。
浮気調査や、不法、不正行為者の調査、人探しなど、ありとあらゆる場面において用いられる調査方法です。
具体的な方法
①事前準備
まずは、対象者の基本情報や行動パターンを分析します。
よく通る経路や滞在場所を確認し、どの時間帯にその場所にいるかを確認します。
それを基に、張り込みの場所、時間帯、方法(車両を使うか否か、単体か複数人かなど)を決めます。
②実行
事前準備に基づいて、張り込みを実行します。
一定時間同じ場所にとどまったり、ひとりで同じ場所に長時間留まっていると、対象者だけではなく、周囲からも不審がられます。
それらを念頭に置きながら、細心の注意を払い調査を行います。
③情報収集
張り込み中に割り出された対象者の行動や会話を随時、記録します。
さらに、その証拠として写真や動画の撮影、録音を行います。
④終了
張り込みを終了し、得られた情報をまとめます。
それらを依頼者に報告、またはさらなる情報収集のために次の調査方法を検討していきます。
尾行
尾行は、「対象人物の跡をつけ、追跡や監視を行う調査方法」のことをいいます。
張り込みが「ある一定の場所に待機し調査を行う」のに対して、尾行は「対象者の跡をつけ調査を行う」という点に違いがあります。
張り込み同様に、あらゆる場面において用いられる調査方法です。
具体的な方法
①事前準備
張り込み同様に、対象者の基本情報や行動パターンを分析していきます。
しかし、尾行は、張り込み以上に慎重を要する調査方法です。
なぜなら張り込みは、「一定の場所に待機する」という静的な調査方法であるのに対し、尾行は「対象者を追尾する」という動的な調査方法であるためです。
より感づかれるリスクが高いため、慎重に尾行を行う場所や時間帯、その方法を検討していきます。
②実行
事前準備に基づいて、対象者の尾行を実行します。
慎重を要する調査であり、万が一感づかれるおそれがあるような場合は、すぐさま尾行を中止します。
③情報収集
尾行によって得られた対象者の情報を記録し、証拠として写真や動画の撮影、録音をします。
尾行はリスクの高い手法である一方で、決定的な証拠を押さえやすい方法であるといえます。
④終了
尾行によって得られた情報をまとめ、依頼者に報告します。
さらなる情報収集が必要な場合は、さらに別の方法を検討していきます。
聞き込み
聞き込みは、「対象の人物について、本人または周囲の人物に話を聞き、情報を収集する調査方法」のことをいいます。
聞き込みにて収集した情報を基に、張り込みや尾行といった別の調査方法に移行することも多く、土台となる調査方法とも言えます。
具体的な方法
①事前準備
聞き込みには、「調査対象者本人に尋ねる場合」と「対象者の周囲の人物に尋ねる場合」があり、依頼の内容によって聞き込みの対象者を決めていきます。
例えば、浮気調査の依頼では、対象者本人に聞き込みをすることは大きなリスクとなるため、周囲の人物に話を聞くことが一般的になります。
さらに聞き込みは、直接的に本人、もしくは周囲の人物へ接触を行う方法であるため、調査をしていること自体が知られるリスクが伴います。
そのため、本来とは別の調査目的の名目で接触を行うなど、「聞き込み相手に本来の調査目的を知られずに、いかに話を聞くことができるか」が重要となります。
(例)対象人物に関する浮気調査にて、周囲の人物に「人間関係について調査をしている」などという名目で接触を試み、話の中で対象人物のことを聞き出す
このように、聞き込みにおいては、入念な聞き込み相手の絞り込みや、架空の設定の作成など、事前の準備が重要となります。
②実行
事前準備に基づいて、聞き込みを実行します。
聞き込みの際の周囲の状況確認や聞き込み相手の動向、架空の設定の再確認など、細心の注意を払いながら調査を行います。
③情報収集
情報収集が聞き込みの目的ではありますが、本来の調査目的が感づかれては元も子もありません。
「相手に本来の調査目的を感づかれないこと」を最優先に、リスクを回避しながら話を聞き出し、情報を集めていきます。
④終了
対象者の行動や素行から、日常の言動や癖などの些細なものまで、聞き込みによって得られた情報をすべてまとめます。
依頼内容にもよりますが、聞き込みによって調査が完結することは基本的にありません。
聞き込みにて得られた情報を基に、次の調査方法を検討していきます。
データ収集調査
探偵の主な調査方法としてイメージされるのは、上記の「張り込み、尾行、聞き込み」ではないでしょうか。
しかし、実際にはこれに加えて、「データ収集調査」というものがあります。
「データ」とは、日本語で「資料」のことです。
これまで見てきた張り込みや尾行のような実地での調査ではなく、調査対象者の氏名や年齢などの基本的な情報を基に、ネット検索や名簿から情報収集を行うのが、「データ収集調査」です。
特に近年、有用とされているのは、SNSやブログからの情報収集です。
X(旧Twitter)やInstagram、Facebookなどの各種SNSを調べるだけでも、対象者の氏名、生年月日、居住地、家族構成、友人関係、人柄、職種、行動範囲、など多くの情報を収集できることも少なくありません。
このように、「データ収集調査」は、実地での調査同様に有用な調査方法のひとつとなります。
探偵をつけられているか知る方法
探偵は調査対象者に知られないことを最優先に、様々な方法によって調査を行っています。
しかし、ここで一つ感じたことはありませんか?
「もし、自分が探偵につけられる側に立った場合、そのことを知ることはできないのではないか?」と。
そこで、探偵につけられているかを知ることはできるのか?という点について解説します。
前提として、探偵は調査のプロです。
そのため、個人が探偵につけられているかを知ることは容易ではありません。
しかし、その中でもいくつか確認をする方法は存在します。
以下、それぞれ見ていきましょう。
①心当たりを探す
少しでも「探偵につけられているのではないか?」と感じた人は、何か探偵をつけられる心当たりがあるはずです。
心当たりを徹底的に探してみましょう。
そして、その心当たりに関係する人物に、会話などから探りを入れ、様子をうかがってみましょう。
②周囲をよく観察する
探偵をつけられている場合、自分の周りに探偵が潜み、調査を行っています。
特に、毎日自分が通るルート、人の多い繁華街などにいる時は、周囲をよく観察してみましょう。
少しでも不審な行動を取る人物がいた場合は、その人物の背丈など、風貌をよく記憶しておきましょう。
③探偵の痕跡を探す
もし、配偶者に探偵をつけられていると感じた場合は、配偶者が探偵を雇った痕跡が無いかを探してみましょう。
例えば、「どこかに支払いの明細書がないか」、「通帳残高から高額の支払いがないか」、などが主な探索方法です。
しかし、いざこざに発展する可能性もあるため、細心の注意を払いましょう。
④探偵を雇う
これまで見てきたように、個人が探偵をつけられているかを確認することは容易ではありません。
では、最も確実性の高い方法は何か。
それは、「こちらも探偵を雇う」ということです。
調査のプロに対する調査は、調査のプロに行ってもらうという考えです。
相手は、「探偵につけられているか確認する方法としてこちらも探偵を雇って調べてくる」とは基本的には想定していないはずです。
そのため、こちらが何も感づいていないふりをするなど、うまく立ち回れば、高い可能性で探偵をつけられているかを確認することができます。
探偵をつけられているかを個人で調べるには限界があり、またその調査の過程で、相手方とトラブルに発展する可能性もあります。
そのため、「こちらも探偵を雇う」という方法は、安全かつ確実性も高い方法といえるでしょう。
過去のことは調べられるのか
探偵に寄せられる依頼は、浮気調査などの現在のことに関する依頼だけではありません。
以前の浮気歴や恋愛調査、職歴調査、借金調査、前科調査など、過去のことを調査する依頼も多く寄せられます。
もし、あなたが探偵に、「過去のこと、特に数十年も前のことを調べてほしい」と思っても、それはできないのではないか、と考えるのではないでしょうか?
しかし、これらの過去の情報は、基本的に調べることができます。
過去のことを調査する際は、調査対象者の基本的な情報から過去の痕跡を辿りますが、数十年前のこととなれば、痕跡が見つからず、調査は困難になります。
ですが、探偵はさまざまなルートから根気よく調査を行います。
その中で、たとえ数十年前のことであっても、何か小さな痕跡を見つけられることがあります。
何か小さな痕跡がひとつでも見つかれば、芋づる式に他の痕跡に繋がることもあり、結果的に過去のことを明らかにすることができる場合があります。
そのため、「数十年も前のことは不可能だろう」と諦めるのではなく、まずは一度探偵に相談してみることが大切です。
個人情報を調べるなら探偵への依頼が確実
探偵を雇わずに他人の個人情報を調べること自体は、不可能ではありません。
しかし、それらの個人情報調査は、一般の個人が行うと違法な行為に該当します。
その反面、探偵は法律によって、個人情報調査が認められており、依頼した本人に違法性が問われることもありません。
探偵はさまざまな方法を用いて、合法的に個人情報の調査を行うことができます。
他人の個人情報を調べるなら、探偵へ依頼することが最も安全で、確実な手段といえるでしょう。