現在ストーカーに悩まされ、解決策を探している状況のあなたが、頼るべきストーカー対策の専門家として、警察・弁護士・探偵が挙げられますが、それぞれに対応できる役割が異なります。
この記事では、あなたの依頼を受けたとき、探偵ができる業務についてまとめました。
目次
ストーカーには定義がある
もし、あなたが第三者からつきまといや待ち伏せなどの迷惑行為を受けたとしても、それが必ずしもストーカー行為に当たるとは限りません。
ストーカーの定義については「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(以降「ストーカー規制法」と表記)で明確に定められているのです。
行為の目的
ストーカー規制法では「つきまとい等」の目的がこのように明記されています。
「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する」
それ以外の動機による迷惑行為は、ストーカー規制法ではなく、各都道府県が定める「迷惑防止条例」に抵触する可能性があります。
行為の手段
ストーカー規制法の第三条には、このような記載があります。
「何人も、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない」
あなたの安全・平穏・名誉・行動の自由を脅かす手段での行為は、ストーカー規制法で明確に禁止されているのです。
ストーカー規制法が改正されました
ネットの普及や技術の進歩、機器の進化を背景に「ストーカー規制法」は改正を重ねてきました。
※警視庁HPより抜粋
ストーカーに気付いたときにすべきこと
ストーカー行為を止めさせるためには、警察を動かすことが必要不可欠です。
その上で、あなたが望む解決方法に応じて行動を決めましょう。
警察へ相談
ストーカーの存在に気付いたとき、必ずすべきことは警察への相談です。
状況によっては、警察は対応が薄い、動いてくれるはずがないと思ってしまうかもしれません。
しかし、ストーカーに対して強固な対応を取ることができるのは、やはり警察なのです。
弁護士や探偵に依頼する場合も、別途警察への相談は必要になります。
法的救済なら弁護士を頼る
あなたがストーカーに対し「やめなければ法的手段をとる」という警告をしたい場合は、弁護士を頼るのが有効です。
また、弁護士はあなたの代理人として、ストーカー本人や警察に対して交渉をすることもできます。
あなた自身が、ストーカーと直接交渉をするのは大変危険ですので、このような場合は弁護士に任せるべきでしょう。
証拠集めなら探偵へ
ストーカー行為の証拠集めなら、探偵に依頼するのが最も確実です。
警察を動かすにしても、弁護士に相談をするにしても、必要となるのはストーカー行為の証拠となります。
警察も弁護士も、証拠がなければ的確な行動をすることができません。
このようなときは、証拠集めのプロフェッショナルである探偵が、あなたの強い味方になってくれます。
探偵の業務範囲にあること
あなたにとって、探偵という存在は、警察や弁護士より分かりにくく感じられるかもしれません。
ストーカー行為における探偵の業務には、どのようなものがあるのでしょうか。
ストーカーの犯人を割り出し行為の証拠をつかむ
最初に挙げられるのは、ストーカーの犯人捜しと証拠集めです。
探偵は下記のような方法を用いて、ストーカー行為の証拠をつかみます。
- 被害者を監視してストーカー犯人を割り出す
- 割り出したストーカー犯人の行動を尾行調査してストーカー行為を確認する
- 確認したストーカー行為を証拠撮影する
被害者であるあなたや、あなたの自宅など、ストーカー犯人が被害を与えるであろうポイントを監視します。
具体的には、あなたのことを付け回しているストーカーを、あなたを尾行することによって割り出します。
また、あなたの自宅などに現れる不審者や、ポストに異物を投函するストーカーを監視し被害事実の確認をします。
それにより、実際に起こったストーカー行為の事実確認及び、犯罪行為の証拠撮影をして、犯人を突き止めます。
ストーカー対策のアドバイスをする
場数を踏んだ探偵は、警察を効率的に動かす術や、ストーカーをかわす方法を知っています。
そして、探偵はあなたが直面するストーカー行為に対し、この知識を生かしたアドバイスをすることができるのです。
探偵の的確なアドバイスは、あなた自身が的確な対応を取れるようになる、ということにつながっていきます。
探偵の範囲外になること
探偵は、自身の業務範囲外になることについては行動できません。
しかし、それは探偵に限らず、警察も弁護士も同じです。
この章では、何が探偵の業務範囲外なのかを見ていきましょう。
ストーカーと直接交渉をする
探偵の業務は、ストーカー行為の根本的な解決ではなく、対策になります。
つまり、あなたを守るための策を講じることは業務範囲ですが、ストーカー行為を止めるよう直接交渉をすることは範囲外となります。
犯罪に当たる方法での調査
たとえば、ストーカーの自宅への不法侵入や、証拠を出させるための脅迫などは犯罪行為となります。
当然のことながら、探偵も犯罪行為になる方法での調査はできません。
権限が必要な業務
探偵はケースバイケースで柔軟に行動しますが、権限が必要なことは行えません。
しかし、その業務をできるのが警察なのか、弁護士なのかということはアドバイスが可能です。
実際の依頼例
それでは、探偵の業務範囲を踏まえたところで、実際にあった過去の事例を見ていきましょう。
※守秘義務に反しないよう、内容の一部に改変を加えております。
相談者について
本件の相談者は、書店に勤める25歳の女性です。
ストーカー行為が始まる3か月ほど前から、書店の同僚男性に誘われ、何度か食事を共にしたそうです。
会計は、女性が割り勘でと申し出たにもかかわらず、男性が半ば強引に払っていました。
男性は恋心を抱いていましたが、女性は彼を苦手なタイプだと感じていたのです。
恋心がストーカーになった経緯
食事に行くようになって2か月が過ぎた頃、男性から付き合ってほしいとの告白がありました。
女性がその申し出を断ったところ、男性はかなり粘り「好きだから毎回おごったのに」と、半ば責める口調で彼女に言ったそうです。
そして、女性はこう答えてしまいました。
「楽しくなかったけれど、我慢して一緒に食事をしていたの。今後は二度と行かない」
それを聞いた男性は激怒しましたが、やがて落ち着きを取り戻し「いきなり付き合っては早かったね。怒ってごめん」と謝りました。
二人はしばらく気まずい雰囲気で過ごしましたが、やがて日常会話を交わす程度になり彼女は安心していました。
ストーカー行為が始まったのは、その矢先でした。
ストーカー行為の内容について
女性を脅かしたストーカー行為は、以下のようなものでした。
- 女性の家のポストに、怪文書のような手紙が投函されていた
- 彼女が帰宅したタイミングで「お帰り」というメッセージが届くことがある
- 最寄りの駅で男性の姿を見かけたことがある
- 食事に行こう、会いたいというメッセージが頻繁に届くようになった。
恐怖を感じた女性は、警察に相談しようとしましたが、証拠が何もありませんでした。
怪文書は捨ててしまい、電話の着信履歴やメッセージも消去していたのです。
証拠が無いと警察は動いてくれないという話をインターネットで情報収集した女性は、これでは警察に説明のしようがないと考え、まず弊社に相談に来られました。
相談者の依頼内容
女性から弊社への依頼内容は、次のとおりです。
- 男性がストーカーである証拠をつかんでほしい
- その証拠を突き付けて、ストーカー行為を止めさせてほしい
- 探偵で上記2つが無理なら、どうすればいいのかを教えてほしい
依頼例に対する探偵の業務内容
女性の依頼には、弊社が対応できることと、業務外になってしまうことが混在しています。
その点をはっきりと説明し、女性は弊社の業務内容を把握したうえで、調査を依頼されました。
対応できること
男性がストーカーである証拠をつかんでほしい
これは探偵にとって主業務のひとつです。
探偵で上記2つが無理なら、どうすればいいのかを教えてほしい
こちらについて、探偵は誰の業務内容になるのかを熟知しています。
ストーカー本人に証拠を送ったり、直接交渉をしたりするのであれば、弁護士が適任だとお話させていただきました。
業務外になること
その証拠を突き付けて、ストーカー行為を止めさせてほしい
これはストーカーとの直接交渉ですので、探偵の業務からは外れます。
合わせて、ストーカーの身柄を取り押さえる、更生に関わるということも業務外であるとの説明を致しました。
実際に行った調査
ストーカー行為の事実を掴むために、調査員がまずは被害者女性自身の尾行を行いました。
被害内容から男性が女性を待ち伏せしたり尾行をしている可能性は高く、女性を尾行する事でストーカー行為を行う男性の姿を捕える目的での調査でした。
数日調査を行った結果、最寄りの駅で待ち伏せして、帰宅するまで女性の尾行をする男性の姿が確認されました。
調査員はその一部始終を証拠撮影しました。さらに女性の自宅に監視カメラを設置したところ、男性が女性の留守中に現れる様子が映し出されました。
依頼例の結末
その後、弊社がつかんだ証拠が決め手となり、警察が対応へと動き出しました。
現在、ストーカー行為は無事に終息しております。
探偵から依頼人へのアドバイス
女性は男性が投函した怪文書をすぐに捨てていましたが、これは立派な証拠となるので保管しておくようにとアドバイスをしました。
同じように、男性からの着信履歴やメッセージも証拠になります。
こちらも消去しないようにとアドバイスをさせていただきました。
また、今後の対策として待ち伏せや尾行をされている事を、確認する方法などもお伝えしました。
ストーカーの決着
女性は弊社が提供した証拠を提示して、警察へ相談をしました。
ストーカー行為が行われていると判断した警察は、男性に対し、警告と接近禁止命令を出したのです。
男性はそれに従い、勤務先の書店を退職して、女性の前から姿を消すことになりました。
まとめ
今回の依頼例では、警察が動いたことでスムーズに終息しましたが、一筋縄ではいかなかった事例も多く存在します。
接近禁止命令に従わず、恐ろしい結末を引き起こしてしまったストーカーもいるのです。
ストーカー行為は、対応を間違えると取り返しのつかないことになりがちです。
少しでもおかしいと思ったことは、すぐに専門家である警察や弁護士、探偵に相談しましょう。
その際にはこの記事にある内容を参考にしていただき、少しでもあなたの悩みを解決する手助けになれば幸いです。