夫から離婚を切り出されたら、どのように感じるでしょうか?
すぐに決断できる人も中にはいますが、どうすればいいか分からないという方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、夫から離婚を切り出された妻がとるべき行動と、よくある離婚の理由をご紹介します。
目次
夫から離婚を切り出されたらまずは冷静になること
結婚と同様に、離婚は人生の大きな岐路となります。そんな離婚を突然切り出されたら、動揺してしまうことは当然ともいえます。
しかし、ここで重要なことは、まずは冷静になるということです。離婚を切り出されたときの対処法にはさまざまなものがありますが、いずれにしても混乱した状態では正しい判断をすることができません。
離婚を切り出された動揺や怒りから口論になってしまい、結果的にそのまま喧嘩別れになってしまうケースもあります。もし、あなたが別れたくないと考えていた場合、一度冷静になって話し合いをすれば問題が解消でき、やり直すことができるかもしれません。まずは、冷静になることを心がけておきましょう。
夫が離婚を望む理由とは
そもそも、夫はなぜ離婚を切り出したのでしょうか?離婚を切り出したことには何か理由があるはずですが、この理由によってその後とるべき行動も変わってきます。夫が離婚を望む理由で考えられるものを、それぞれ確認していきましょう。
妻の浮気を疑っている
まず、考えられる理由は、妻の浮気を疑っているかもしれないということです。
妻の浮気が発覚したとき、そのまま浮気を許して婚姻関係を継続させることも考えられますが、特に男性の場合は、浮気を許すことができずに離婚するパターンが多いといわれています。
嫉妬深いタイプの夫は、妻の異性関係に敏感になります。明白に浮気の証拠がある場合はもちろんですが、そういった確証がなくても、疑わしいという理由のみでも離婚を考えるケースがあります。
妻との価値観の違い
妻との価値観の違いも、離婚を望む理由として挙げられます。実は、夫婦が離婚を望む理由で最も多いといわれているのが、この「価値観の違い」です。
結婚をすれば、プライベートの時間の多くを夫婦で過ごすことになります。愛し合っている相手とプライベートの時間を過ごせるというのは大きな喜びです。しかし、その相手と価値観にずれがある場合はどうでしょうか?自分とは考えの違う相手と多くの時間を共有することになり、それは苦痛の時間になり得ます。
さらに、このなかでもよく挙げられるのが「金銭感覚の違い」です。結婚前とは違い、夫婦がそれぞれ稼いだ財産は、夫婦の共有財産となります。この夫婦の共有財産は、その先の生活を営む上で重要なものになります。例えば、自分は倹約家であるのに、妻の浪費が激しいなど、金銭に対する価値観の違いが大きいと、それらは精神的な負担になります。
多くの時間を共有する夫婦であるからこそ、価値観の違いというのは、より浮き彫りになり気に留まりやすくなります。この価値観の違いに耐えられなくなったときに、離婚を望む男性が多くいます。
妻に対して愛情がなくなった
夫婦がそもそも結婚をする理由は、相手に愛情を抱いていたからです。その相手に対する愛情がなくなってしまえば、反対に離婚をしたいと考えるのは必然といえます。
結婚後、生涯にわたって妻を愛し続ける男性もいますが、そうではない男性がいることも事実です。密接に時間を過ごす間に、相手の嫌なところが浮き彫りになって、妻に愛情がなくなるということは度々あります。
また、特に嫌なところがなくても、長年同じ時間を過ごすことによるマンネリ化によって、愛情がなくなることもあります。このように、妻への愛情がなくなることが、離婚を望む理由になる場合も考えられます。
妻からのモラハラやDV
妻からのモラハラ(道徳・倫理に反する嫌がらせ行為)やDV(道徳・倫理に反する嫌がらせ行為)によって、夫が離婚を望むケースも想定されます。夫に対する妻のモラハラやDVの代表例には、以下のようなものがあります。
・理由なく夫を侮辱する
・理由なく夫を無視する
・夫が大事にしている物を勝手に捨てたり壊したりする
・夫を暴言などで脅迫する
・殴る・蹴るなど、夫に暴力を振るう
こういった例の他にも、夫に対して行われる嫌がらせや暴言・暴力行為は、基本的にモラハラやDVに該当し、それを理由に夫が離婚を望むケースがあります。
妻が仕事や家事をせず好き勝手している
夫婦間で、仕事や家事に関する揉め事は度々見られます。これに関して、夫が離婚を望む理由として考えられるのが、妻が仕事や家事をせず好き勝手しているというパターンです。
実際に、自分が毎日仕事や家事に励んでいるのに、相手が仕事も家事もせずに好き勝手している場合、どのように感じるでしょうか?不公平に感じて、改善も見られない場合には、耐えられずに別れたいと考えることがあると思います。
家庭に居場所がなく孤独を感じている
家庭に居場所がなく孤独を感じることから、離婚をしたいと考える男性もいます。
例えば、母親と子どもの仲が良く、夫が疎外感を感じてしまうというケースがあります。ドラマや映画などでも、年頃の娘が父親を避けるというシーンを見たことがあるのではないでしょうか?
このような場合、妻と子どもは一緒にいるのに、自分だけ居場所がないように感じてしまいます。仕事で疲れて帰宅して、家庭でもこのように辛い思いをすることに苦痛を感じ、離婚をしたいと考えるケースがあります。
夫の言い分が認められて離婚が成立するケース
夫婦が離婚をする場合、お互いが合意をして、離婚届を提出することで離婚が成立する「協議離婚」が一般的です。しかし、夫婦のどちらか一方が離婚を拒み、協議離婚ができないケースも考えられます。
例えば、夫は離婚を望んでいるのに、妻が合意をしない場合、離婚することはできないのでしょうか?実際はこの場合であっても、夫の言い分が認められて離婚が成立するケースがあります。『民法770条1項』は、離婚が成立する要件を5つ定めており、これらは「法定離婚事由」と呼ばれています。それぞれ確認していきましょう。
妻が不貞行為をしていた
妻が不貞行為をしていた場合は、夫の言い分が認められて離婚が成立します。「不貞行為」は、一般にいわれる「浮気・不倫」のことを指し、「配偶者をもつ男女が自由な意思に基づいて配偶者以外の異性と性的関係を結ぶこと」であると定義されています。
民法の離婚成立要件として定めがあり、不貞行為の事実があった場合は、たとえ妻が拒んでも、夫は一方的に離婚を言い渡すことができます。
妻から悪意の遺棄があった
妻から悪意の遺棄があった場合、夫は一方的に離婚を成立させることができます。「悪意の遺棄」とは、正当な理由なく夫婦間での義務を放棄することを指します。
『民法752条』には「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」とあり、これらは「夫婦の①同居義務・②協力義務・③扶助義務」と呼ばれています。
「①同居義務」は、単身赴任などの正当な理由や互いの合意がある場合を除き、夫婦は同居をしなければならないとされるものです。妻が勝手に家を飛び出して、別居を始めたといった場合は義務違反であり、悪意の遺棄とみなされます。
「②協力義務」は、収入・家事・育児などにおいて、互いに協力しなければならないとするものです。仕事もせずに、妻が家事や育児なども放棄しているといった場合、協力義務違反として悪意の遺棄に該当します。
「③扶助義務」は、夫婦がお互いを支え合い、同程度の生活をできるように図らなければならないとするものです。共働きであるにもかかわらず、夫のみが生活費を捻出し、妻が生活費を渡さない場合や生活費を勝手に浪費しているといったことがあれば、扶助義務違反で悪意の遺棄とみなされることがあります。
これら3つの定められた義務を理由なく履行しなかった場合、悪意の遺棄があったとされ、離婚が成立します。
妻の生死が3年以上分からない
妻の生死が3年以上分からない場合、夫は離婚を成立させることができます。この3年以上の起算日は、妻から最後の音信・消息があったときです。
例えば3年前に妻から着信があり、それ以降の音沙汰がなく消息もわからないという場合が、これに該当します。注意しなくてはならないのは、「生死不明」という点です。例えば、居場所は分からないけど電話は繋がるというような場合は、「消息不明」であり「生死不明」ではありません。
妻が重度の精神病で回復が見込めない
妻が重度の精神病にかかってしまい回復が見込めない場合も、法定離婚事由のひとつとして定められています。
具体的には、統合失調症、認知症、アルツハイマー病、その他の重度な障がいが挙げられます。しかし、妻がこれらの精神病にかかったからといって、無条件に離婚が成立するわけではありません。なぜなら、夫婦には扶助義務があり、互いに支え合わなければならないとされているためです。
裁判所は、精神病の程度と今後の回復の見込みを考慮して、慎重に判断を下します。
その他結婚生活を続けられない重大な事由がある
上記の4つ以外にも、結婚生活を続けられない重大な事由があると認められた場合には、離婚が成立します。
例として、性格の不一致、モラハラやDV、実質的な夫婦関係の破綻など、さまざまなものがあります。重要なのは、「結婚生活を続けられないほどの重大な事由があるか」という点です。
例えば、妻からモラハラやDVを受けている場合、平穏に結婚生活を続けることは困難といえます。こういった点を考慮して、裁判所は離婚成立の可否を判断します。
離婚したくない場合に行う対策
これまで、夫が離婚を望む理由や離婚が認められるケースを紹介しました。しかし、離婚をすれば、これまで築き上げた生活に変化が生じます。特に、子どもがいる場合は、子どもへの負担も考慮しなければなりません。また、夫をまだ愛している場合も当然別れたくないと考えるでしょう。
では、離婚したくないと考えている場合は、どういった対策を講じればいいのでしょうか?それぞれご紹介します。
離婚の話題を持ち出さない
普段から離婚の話題を持ち出さないように意識することはひとつの対策になります。
例えば、口論をしたときに「そんなに言うなら別れる」「こんなのでこの先一緒にいれない」など、別れをほのめかすような発言をしていると、夫が本当に別れを切り出す可能性が高くなります。
離婚したくないと考えているなら、普段から離婚の話題を持ち出さないように心がけ、口論などをしても穏便に解決できるように心がけましょう。
別居はしない
「別居しない」ということも対策になります。夫婦間に何か問題が生じたときに、一度距離を置くために別居するという選択肢が浮かぶかもしれません。もちろん別居をすることで、パートナーの大切さに気づき、関係修復を図れることがあります。
しかし、そのまま気持ちが離れていき、離婚をするケースも多くあります。また、別居の期間が長期にわたると、たとえ一方が離婚を拒否しても、裁判によって離婚が成立するケースがあります。もし別れたくないと考えているなら、別居は避けるべきです。
離婚届不受理申出書を出しておく
離婚したくないと考えている場合、離婚届不受理申出書を出しておくという対策があります。
協議離婚では、夫婦が合意をして離婚届を提出することで離婚が成立します。しかし、この離婚届を一方が同意なしで勝手に役所へ提出してしまうケースがあります。
「同意なしの離婚届なんて認められない」と思われるかもしれませんが、届けを受け取る役所は、同意が本当にあったかどうかの調査を行うことまではできません。提出された離婚届をそのまま役所が受理してしまうと、形式上、離婚が成立したことになってしまいます。
この場合、家庭裁判所に離婚無効確認の調停の申し立てを行うことで、離婚を取り消すことができますが、多くの手間と時間がかかってしまいます。こういった事態を避けるために設けられている制度が、離婚届不受理申出書です。
この申出書を提出しておけば、本人が届け出たことを確認することができない限り、役所は届出を受理しません。「知らない間に勝手に離婚届を出されて離婚が成立していた」ということがないように、離婚届不受理申出書を出しておきましょう。
自分の気持ちを落ち着いて伝える
自分の気持ちを落ち着いて伝えることも大切です。特に口論をしているときや、関係が良くないときは、感情的になってしまうことが度々あります。しかし、感情的に話をすると、思ってもいないことを言ってしまうかもしれません。
また、相手も感情的になり、まともな話し合いをすることができなくないかもしれません。離婚したくないと考えているのであれば、まずは一度落ち着いて、自分の気持ちを伝えてみましょう。
自分に原因がある場合は直すように努力する
もし、自分に原因がある場合は直すように努力しましょう。まずは、何が原因であるかをしっかりと見定め、その上で直す方法を考えます。例えば、最近一緒の時間が作れておらず、気持ちが離れてしまったことが原因であるなら、今後は一緒の時間を作ることができるように努力しましょう。
「別れたくない」という気持ちを正直に伝えて、今後の改善策を伝えれば、その真剣な気持ちに応じてくれるかもしれません。
円満調停を考える
お互いに話し合いをしても、解決を図れないことがあります。また、関係が冷え切っていて、夫が話し合いに応じてくれないということもあるかもしれません。そんなときに考えられるのが、円満調停です。
円満調停とは、家庭裁判所の調停員が間に入り、話し合いをすることで、夫婦関係の回復を図る制度です。当事者同士で解決が難しいときは、第三者が介入することもひとつの手段です。どうしても解決が図れないときは、円満調停を検討してみましょう。
夫から離婚の原因を聞き出せない場合
夫が離婚を切り出してきたときに、離婚の原因を聞き出せない場合があります。例えば、離婚の原因を聞いても、「話すことなんてない」、「話もしたくないから別れてくれ」と、理由を言わずにはぐらかすことがあります。
なぜ、夫は離婚の原因を話さないのでしょうか?ここからは、そういった場合に何をすればいいかを紹介していきます。
不倫している可能性を探る
夫から離婚の原因を聞き出せないときは、不倫している可能性を探ってみましょう。なぜなら、離婚の原因を話さないのは不自然であるためです。
性格の不一致や価値観の違いが原因であれば、それを隠す必要はありません。離婚の原因を話したがらない場合は言えないこと、つまり、不倫をしている可能性があります。
不倫の証拠を押さえれば慰謝料請求が有利になる
実際に夫が不倫をしていたときは、不倫の証拠を押さえるようにしましょう。不倫をされた側は、『民法第709条・710条』を根拠に、慰謝料請求ができます。しかし、慰謝料請求が認められるためには、「本当に不倫をしていた」という事実を立証する必要があります。
事実を立証することができなければ、慰謝料請求は認められません。不倫の事実を立証するために、証拠を必ず押さえておきましょう。
探偵に依頼して夫の身辺調査をする
夫に不倫の疑いがあったときは、探偵に依頼をして夫の身辺調査をしましょう。自力で調査をすることもできますが、不倫をしていてもその事実が確認できない、調査をしていることがバレるといったリスクが伴います。
探偵は法的にも独自の調査が認められている、調査のプロです。探偵に依頼をすれば、不倫の事実確認のみではなく、同時に証拠を押さえることもでき、その後の慰謝料請求に役立てることができます。安全で確実に夫の調査を行いたい場合は、一度探偵への依頼を検討しましょう。
夫の不倫が確定したら弁護士に相談する
夫の不倫が確定して、証拠を押さえることができれば、弁護士に相談をしましょう。慰謝料請求には、「示談交渉」と「民事裁判」という2つの方法がありますが、いずれにしても法的な分野の業務となるため、弁護士の介入が必要となります。
弁護士であれば、「証拠が十分か」、「どのような方法で慰謝料請求をするか」といった見極めができるため、何も知識がなくても安心です。確実に慰謝料請求を行いたいのであれば、弁護士へ相談をしてみましょう。
事例
実際に依頼のあった事例をご紹介します。※なお、守秘義務に反しないように内容の一部を改変しております。
ある日、夫であるBさんが離婚を切り出しました。妻であるAさんが理由を聞くと、「価値観の違いで衝突することが多くこれ以上一緒にいてもうまくいかない」と説明しました。
離婚したくないAさんは「価値観の違いは誰にでもあるものだから今後はお互いにその違いを認め合うようにしたい」「意見が衝突したときも感情的にならずに冷静になって話し合うようにしよう」と正直に気持ちを伝えました。
しかしBさんは、もう決めたことだから気持ちは変わらないと、頑なに離婚の意思を強調しました。Aさんは復縁を諦めかけ、離婚に同意しようとしましたが、友人からの忠告で別視点から夫の行動等を見つめなおしました。
すると、夫の不審な点が浮かび上がってきたのです。Aさんは悩みましたが、夫の浮気疑惑を払拭したい気持ちもあり、探偵に身辺調査を依頼しました。
調査の結果、疑惑は確信となり、夫の決定的な浮気の証拠を目の当たりにすることになりました。ショックをうけたAさんでしたが、結果を夫に突き付け、慰謝料請求と離婚に踏み切りました。
まとめ
本記事では、夫から離婚を切り出された妻がとるべき行動と離婚の理由を紹介しました。
夫から離婚を切り出されても、まずは冷静になりましょう。その上で、夫が離婚を望む理由を聞き出すことが大切です。離婚の原因を聞き出した上で、その後とるべき行動を検討するようにしましょう。この記事が悩みを抱える方に参考になれば幸いです。
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