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【熟年離婚】原因やメリット・デメリットとは?後悔しないための準備と心構え

人生の後半で「熟年離婚」を決意する夫婦が、近年増加傾向にあり、社会問題化しています。

この記事では、熟年離婚とは何か、原因やメリット・デメリットから説明し、熟年離婚で後悔しないために、事前にするべき準備や手続き、心構えまで、徹底的に解説しています。

熟年離婚を検討している方や、決意した方は、ぜひ参考にしてください。

熟年離婚とは

熟年離婚とは、夫婦が、長い婚姻期間の末に離婚することを指します。一般的に、結婚してから20年以上が経過している50代以上の夫婦の場合に、熟年離婚とされるようです。

近年、熟年離婚は増加傾向にあり、日本では、1980年代から2000年代にかけて増加し、現在もその傾向は続いています。全体の離婚件数が減少傾向にある中、同居期間20年以上の夫婦の離婚は約4万件と高止まりしており、社会問題化しています。

熟年離婚の増加には、次のような社会的背景があります。

  • 社会的な価値観が変化し、離婚に対する社会的圧力が緩和された
  • 別居婚、卒婚など、夫婦関係や結婚生活の多様化が進んでいる
  • 女性の社会進出と経済的自立が進み、離婚への心理的障壁が低くなった
  • 離婚時の年金分割制度が始まり、離婚に踏み切りやすくなった
  • 共働き世帯が増えても、女性の家事・育児の負担割合が9割と依然高い
  • 人生100年時代に突入し、第二の人生について再考する人が増えた

妻から熟年離婚を切り出す場合は、理由として、長期にわたる我慢の限界、夫のDV・モラハラや浮気、子どもの独立、経済的自立などがあります。夫から切り出す場合は、他の女性の存在、妻の言動や態度への不満、金銭感覚の違いなどがあります。

若い世代の離婚と異なり、熟年離婚の場合は、子どもがいることも多く、資産形成も進んでいます。財産分与、年金分割、慰謝料請求などの手続きが複雑になりやすいので、事前に十分な話し合いと準備を行い、円満な解決を目指すことが大切です。必要に応じて、弁護士などの専門家に相談するのもおすすめです。

熟年離婚でよくある原因

熟年離婚に至るまでの過程は、夫婦によって異なり、さまざまな原因があります。人生の大きな決断になりますので、後悔のない選択をすることが重要です。原因について熟慮し、改善できる点がないか模索して、早計な行動を取らないように注意しましょう。

夫婦の価値観の相違

熟年離婚のよくある原因に、夫婦の価値観の相違、性格の不一致というものがあります。

元々他人だった夫婦の価値観が異なることは当然であり、長い結婚生活の中で少しずつ変化し、お互いに歩み寄っていくものです。しかし、変化の結果、食い違いが大きくなったり、それぞれの価値観を押し通したりすることで、衝突が絶えなくなり、関係が悪化することがあります。

特に、家庭を営むにあたり重要な位置を占める、生活習慣、金銭感覚、将来設計、教育方針、家事分担、実家や親戚との付き合い方、友人や近隣住民との関係、仕事と趣味のバランスなどにおいて、夫婦の考え方や行動の違いが表面化し、お互いに受け入れがたいと感じると、離婚の原因になります。

熟年離婚を避けるためには、お互いの価値観を尊重し、受け入れる姿勢が不可欠です。普段からコミュニケーションを密に取って、気持ちを伝え合い、妥協点を探ることも大切になります。

家事や育児・介護への協力不足

熟年離婚の原因として、家事や育児・介護への協力不足を挙げる方も非常に多くいます。家事分担の不平等や、育児や介護への関与の度合いの違いに不満が募ります。特に、共働き家庭においては、家事関連の負担が女性に偏りがちです。

父親の育児参加が増えてきたとは言え、まだ母親の関与の方が圧倒的に多く、父親の育児が母親を「手伝う」姿勢であったり、継続的・包括的でなかったり、母親の負担を理解していなかったりすると、夫婦間の溝が深まる原因になります。キャリアの形成期と、育児で手がかかる時期が重なると、妻が「キャリアアップの機会を逃した」と感じることもあり、また、年齢を重ねるにつれて体力的な負担も大きくなります。

これは単なる負担の量や割合の問題ではありません。夫婦は、お互いに協力し合うことで家庭を営み、子どもを愛情深く育てることができます。相手の状況を慮る気持ちが薄れ、協力関係が崩れてしまうと、ストレスを生み、夫婦間の愛情や信頼関係、助け合う姿勢にも悪影響を及ぼします。負担の少ない方は多い方に対し、感謝の意を示すことも、とても大切です。

家事や育児・介護の協力体制を整えることで負担が減り、相手の言動や態度が改善することで不満が減れば、離婚を回避できる可能性もあります。熟年離婚を検討するにあたり、冷静に考えてみることも必要です。

一緒にいる時間が増えたストレス

熟年離婚で聞かれる原因として、一緒にいる時間が増えたことによるストレスも、よく指摘されています。子どもが独立し、定年退職を迎えると、夫婦二人だけの生活に戻ります。仕事と育児を役割分担し、多忙を極めていた頃は、お互いに向き合う時間が少なく、相手についてよく考えることもあまりないかもしれません。

しかし、ひとつ屋根の下で朝から晩まで一緒に過ごしていると、相手の言動や生活習慣が嫌でも目に入ることになります。

例えば、喫煙習慣やテレビの音量、生活リズムの違い、時間やお金の使い方など、夫婦間の価値観の相違が顕著になってくると、ストレスが溜まってしまいます。また、定年退職しても家事を分担しない、現役の時のように買物や旅行で散財するなど、状況の変化に応じて生活を変えないことも、ストレスの要因になります。

熟年離婚を考えている場合は、まず夫婦で正直に話し合い、お互いに抱えているストレスの原因を理解することが必要です。夫婦問題の専門家に依頼して、カウンセリングやコンサルティングを受けることも、問題解決の一助となるでしょう。

浮気や不倫、DVやモラハラ

浮気や不倫、DVやモラハラは、夫婦関係を根底から揺るがす深刻な問題です。長年連れ添った夫婦間でも、このような問題が発生すると、修復不可能なほど関係が悪化し、熟年離婚に至るケースは数多く見られます。

浮気や不倫は、配偶者への裏切り行為であり、長い結婚生活で培ってきた信頼関係を壊すものです。熟年になってから浮気や不倫が発覚して離婚に至るケースもあれば、相手の浮気や不倫を知りながら黙認する、または家庭の維持を優先して、子どもの独立や経済的自立、定年退職などを機に、離婚するケースもあります。特に後者の場合は長期戦となり、非常に精神力を要するため、相応の覚悟が必要です。

DVは、身体的な暴力だけでなく、精神的な虐待や経済的な支配も含む不法行為です。長年にわたるDV行為は、被害者の心身や社会的立場などに深刻なダメージを与えます。モラハラも、否定的な言葉や攻撃的な態度による精神的な圧力が長期間続くことで、うつ病や適応障害などの精神疾患、自己肯定感の喪失などにつながる可能性があります。これらは、熟年離婚と慰謝料請求を決意する大きな要因になります。

アルコールやギャンブルなどの依存症

さまざまな依存症も、熟年離婚に至る大きな原因になっています。現代の過度なストレスが原因になっていることも多く、治療は難しく、再発リスクも高いため、依存症からの脱却は困難を極めます。また、治療を始めるために家族や周囲に理解を求めたくても、プライドや羞恥心から言い出せないこともあります。

依存症は、克服するという強い意志を持ち、専門機関に相談するなど、適切な支援を受けることが重要です。

これは本人だけでなく、家族や友人、仕事にも大きな影響を及ぼすものです。お互いに協力して依存症に向き合ってきた夫婦の場合でも、長期にわたる治療に心身が疲弊したり、経済的な負担が重くのしかかったりして、熟年離婚を余儀なくされることも少なくありません。

依存症としては、次のようなものがあります。

① 物質への依存(アルコール、タバコ、違法薬物など)

アルコールやタバコは、嗜好品として適度な量を摂取する限りにおいては、問題とならないこともありますが、依存症になると、健康にも問題が生じ、出費が増えて家計を圧迫し、仕事に悪影響を及ぼすこともあります。

違法薬物に至っては、本人の心身の健康を害するだけでなく、家庭や社会的立場を壊し、薬物に起因する犯罪で社会にも悪影響も与えることがあります。薬物犯罪は、法律で厳しく規制されており、処罰されます。

② 行為への依存(ギャンブル、買物、盗癖、盗撮、痴漢など)

ギャンブルや買物は、余剰金で賄える範囲で行う場合は、趣味やちょっとした無駄遣いととらえられることも多いですが、依存症になると、借金をして費用を捻出することも多くなります。借金による生活苦に加え、配偶者に隠れて借金をしていた場合は、発覚時の衝撃は大きく、夫婦の信頼関係に深刻な亀裂を生じさせます。

また、盗癖、盗撮、痴漢などは、被害者がいる犯罪です。当然、罪を償う必要があり、家庭や仕事を失う可能性も高くなります。

熟年離婚のメリットは?

熟年離婚は、これまでの人生を振り返り、新たな人生に踏み出すための選択肢です。しかし、離婚により受ける影響も大きいため、慎重に検討する必要があります。まず、熟年離婚のメリットを考え、理解しましょう。

自由な人生を謳歌できる

熟年離婚の大きなメリットに、自由な人生を謳歌できることが挙げられます。

熟年離婚では、子どもが自立していることが多いため、自分のためだけに時間を使えるようになります。離婚後は、趣味に没頭したり、旅行に行ったり、新しいことに挑戦したりと、今までやりたくてもできなかったことを思い切り楽しむことができます。

また、人間関係も自由になります。離婚後は、配偶者や義理の両親・親族による干渉や制限もなくなり、自分の思うままに人間関係を構築することができます。旧交を温めるのも、新しい仲間を見つけるのも自由です。

元配偶者の浮気や不倫に苦しんでいた場合でも、離婚後は、新しい恋愛や結婚の可能性がひらけます。

経済的に自立できる

熟年離婚により、経済的自立が可能になることも、大きなメリットです。配偶者が家計を管理していたり、経済的DVを受けていたりする場合、お金が自由にならない、仕事をしたくてもさせてもらえない、自分で稼いだお金を奪われるなどの状態に陥ることがあります。

離婚後は、必要な生活費などを自分で稼ぐ必要はありますが、その分、自分で管理し、自分の方針で自由に使うことができます。新しい学びや経験、ビジネスやちょっとした贅沢なども、可能になります。

不満やストレスから解放される

長い結婚生活の間には、生活習慣や価値観の相違、家事・育児・介護分担の不公平など、さまざまな要因で不満やストレスが溜まりやすくなります。配偶者の浮気や不倫、DVやモラハラ、依存症があった場合は、さらに苦しみが増します。

たくさんの我慢を強いられ、理不尽に耐えてきた場合は、熟年離婚によりここから解放されることはメリットでしかなく、より自分らしい人生を始めるための大きな一歩になるでしょう。

家事や介護の負担から解放される

熟年離婚を決意する熟年世代は、仕事で責任ある立場につくことが多いため、多忙を極める時期であり、同時に、子どもの受験や両親の介護など、精神的にも肉体的にも負担が大きい、家庭におけるさまざまなライフイベントが重なる時期でもあります。

その上、共働き世帯である、配偶者が非協力的、家事や育児の大半を自分が負担している、義理の両親や祖父母の介護まで負担することになったなど、終わりが見えない状況が続くと、心身ともに疲弊して、ストレスが限界に達してしまうのは当然のことです。

熟年離婚によって、これらの負担を大きく軽減できることは、大きなメリットになります。離婚後は、自分のために使える時間が増えることで、心と体の健康も取り戻し、趣味やビジネスに挑戦するなど、新しい人生を前向きに始められるでしょう。

心身の危険から脱する

熟年離婚により、配偶者から受けているDVやモラハラから解放されて、心身の危険から脱することができれば、それはメリット以外の何物でもないでしょう。

渦中にある時には、配偶者側に非があることにも、否定的な言葉や態度で自己肯定感が下がっていることにも、気付きにくくなります。しかし、熟年離婚により、物理的な距離をおくことができれば、心身の安全が脅かされていることを理解でき、危機的な状況と大きなストレスから解放されます。

熟年離婚のデメリットは?

次に、熟年離婚のデメリットを考え、理解しましょう。熟年離婚には、たくさんのメリットがあると同時に、デメリットもあります。両者を比較検討して十分に理解し、熟年離婚すべきか慎重に検討した上で、決断することが重要です。

孤独を感じる

熟年離婚の大きなデメリットとして、孤独を感じることが挙げられます。結婚生活が長くなるほど、相手の存在が当たり前になり、知らず知らずのうちに精神的な支えになっていることも多いです。離婚後は、ひとりでいる時間が増えるため、寂しさや不安を感じやすくなります。特に、子どもが独立していて一人暮らしの場合、友人や知人が少ない場合などは、孤独感がより強くなりやすいでしょう。

離婚後は、夫婦や家族で参加していた行事や親戚の集まりなどがなくなり、人付き合いをする機会が減ります。
孤独を感じないようにするには、家族や友人と定期的に会ったり、ペットを飼ったり、趣味やボランティアを始めて、新しい人と出会う機会を作ったりすることが大切です。

孤独が原因で、生活習慣病や認知症が増加する可能性もあるため、孤独は積極的に解消する必要があります。

経済的に不安定になる

熟年離婚により、経済的に不安定になることも大きなデメリットになります。離婚後に後悔しないように、お金の準備を事前にしっかりとしておくことが大切です。不安定になる要因としては、次のようなものがあります。

① 収入がない、収入が足りない

離婚後は、生活費を賄うための収入源を確保する必要がでてきます。定年を迎えていても、ほとんどの場合は、年金だけで賄うことはできません。無職の場合は就職を、十分な収入がない場合は転職や副業、起業などを、それでも足りない場合は、生活水準を下げることも必要になるでしょう。

② 住居がない

持ち家がない、持ち家に配偶者が住むことになった、持ち家を財産分与のために処分したなどの場合、離婚後に新たな住居を確保する必要がでてきます。賃貸物件を借りるためには、敷金・礼金・引っ越し費用なども必要です。

家事に追われる

熟年離婚のデメリットとして、買物、料理、洗濯、掃除などの家事に追われるという問題があります。離婚後は夫婦で分担していた家事をひとりで行う必要があります。特に、それまで配偶者に任せきりだった場合は、家事に慣れていないため、余計に時間がかかります。仕事との両立が難しくなり、生活に支障が出ることもあります。

離婚に向けて、自分は何ができて、何ができないのか、どれくらいの時間や手間がかかるのか、客観的に考えて、よく分析し、必要に応じて、家事代行サービスやシルバー人材センターの利用なども検討するといいでしょう。

病気や怪我の時に頼る人がいない

熟年離婚の場合、基本的に生活の一切をひとりで行うことになります。病気や怪我をした時に、すぐに遠慮なく頼れる人がいることはあまりないかもしれません。自分の代わりに家事や用事をこなす人がいないという、実務的なデメリットだけでなく、弱っている時に心の支えになる人がいないという心理的なデメリットもあります。

健康的な食生活と運動習慣を心掛けて、できるだけ病気や怪我をしないようにすることが大切です。定期的に健康診断を受けたり、かかりつけ医を持ったりして、健康状態を把握しておくこともいいでしょう。

子どもに影響を与える

熟年離婚は、当事者にとって大きな変化をもたらすだけでなく、子どもにも、大きな影響を与える可能性が高いものです。特に、子どもが成熟していない場合や、思春期で不安定な場合などは、子どもへの負担が大きくなります。

子どもが理解できるように、言葉や時間を尽くして離婚の理由を説明し、子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。密にコミュニケーションを取って、適切なサポートをし、必要に応じて専門家に相談することは、子どもの精神を安定させ、親子関係を良好に保つためにも重要です。

子どもに与える影響としては、次のようなものがあります。

  • 環境が不安定になる:住居、学校、習い事、友人関係などが変わり、環境が不安定になることがある
  • 経済的に不安定になる:養育者の収入減や生活費の増加により、経済的に不安定になることがある
  • 親の精神状態が不安定になる:離婚による生活の変化やストレスで、親が精神的に不安定になることがある
  • 親に不信感を抱く:安心して暮らしていた家庭がなくなることにより、親への不信感が生まれることがある
  • 兄弟姉妹との関係が悪化する:別々に引き取られるなどにより、兄弟姉妹との関係が悪化することがある
  • 子どもの結婚観が変わる:親の離婚により結婚に対するイメージが低下したり、晩婚化したりすることがある

熟年離婚を後悔しない準備と心構え

熟年離婚を後悔しないためには、住居、お金、健康、子ども、ペットなど、さまざまな要素を考慮する必要があります。大きな決断をして、新しい人生を始めるために、どのような準備と心構えが必要になるか見ていきましょう。

時期の考慮

まず、いつ離婚を切り出し、実際に手続きを進めるのかは非常に重要です。それにより、離婚後の生活が大きく変わる可能性があるからです。

一般的に、熟年離婚をしやすいのは、次に述べるようなライフイベントがある時期ですが、個々の事情によって適切な時期は異なります。また、DVやモラハラなどの被害を受け、事態の改善に急を要する場合などは、この限りではありません。

① 子どもが自立した時

子どもが年齢的にも、精神的にも、経済的にも、親から自立している場合は、子どもの環境や生活、人間関係を変える必要がないため、離婚による影響を減らすことができ、熟年離婚をするに望ましい時期と言えます。

② 収入の目途が立った時

熟年離婚後は、自分で生活費を賄うことになるため、経済的な自立は必要不可欠です。就職が決まるなど、収入の目途が立った時が、熟年離婚の時期として適していると言えます。

③ 配偶者が退職する時

熟年離婚を考える上で、配偶者の退職は重要な要素です。退職後は夫婦で過ごす時間が増え、生活習慣や家事などの分担、趣味や生きがいなどに関する意見の相違が生じやすくなるからです。退職金や年金分割の問題も夫婦間の摩擦を生む原因になります。話し合いの末、お互いにとって離婚が望ましいと結論付けた場合は、退職という節目の離婚は適切と言えます。

住居の確保

熟年離婚をする場合、夫婦の一方または双方が住居を確保する必要が生じます。離婚が決まってから考えるのでは遅い場合がありますので、離婚を検討し始めた段階から、予算や立地、駅近・バリアフリーなど、希望する条件を整理し、住居探しの準備を進めることをおすすめします。

住居探しに当たり、現在の住まいをどうするのか考える必要があります。持ち家の場合、売却して財産分与するのか、住宅ローンと名義を変更して住み続けるのか。賃貸の場合、どちらかが住み続けるのか、どちらも退去して新しい住居を探すのか。探すのは、同居する子どもがいれば家族用、一人暮らしなら単身用か介護施設などの選択肢があります。また、財産分与や慰謝料が高額な場合、単身用の安価な物件を購入すれば、終の棲家が確保でき安心できます。

住居探しは、不動産会社に相談する以外にも、インターネットや、親戚・友人・知人などの紹介を通して探すことができますが、無職や非正規雇用、定年後の年金暮らしの場合には、審査が通りにくくなるので注意が必要です。公営住宅や高齢者向け優良賃貸住宅も、併せて検討するといいでしょう。

お金の準備

熟年離婚では、お金に関するさまざまな問題が浮上します。離婚前に夫婦で築いた財産の分割から、離婚後の生活費や子どもの教育費の工面、不足している場合の対処法、老後資金の準備などにより、離婚後の人生は大きく左右されます。

熟年離婚を決意したら、お金の問題について事前にしっかりと話し合い、解決策を見つけておくことが重要です。

就職・転職、副業・起業

熟年離婚をしたら、自分で収入源を確保する必要があります。安定した収入があれば、安心して離婚することができます。特に、離婚前に無職の場合は、最優先で対処すべき課題となります。また同時に、離婚後の生活費を見積もっておくなど、事前にしっかりと計画と準備をしておくこと、年齢や体力、家庭の事情なども考慮して、自分に合う稼ぎ方を選ぶことが大切です。

経験やスキルを活かせる職場に就職する、もっと収入の多い仕事に転職する場合は、転職サイトや人材紹介会社、ハローワークなどを利用して、効率よく求人を探しましょう。年齢制限がある求人もあり、難航する可能性もあるため、早めに探し始めることをおすすめします。

また、収入アップのために今の仕事を続けながら副業を始める、新たに自分のビジネスを起業するという選択肢もあります。スキルアップのための講座や研修の受講、専門家への相談や支援制度の活用なども検討しましょう。

起業の場合は、経験やスキルに加え、資金調達や事業計画なども必要になります。自営の場合、すぐに軌道に乗せるのが難しい可能性があるので、離婚前に少しずつ試してみることをおすすめします。

婚姻費用の請求

婚姻費用とは、婚姻期間中に、生活を営むために必要な費用として、夫婦双方の資産や収入に応じて分担する義務のある費用です(民法760条)。別居中でも請求できますが、離婚後は原則として、支払いの義務はありません。

ただし、婚姻期間中の婚姻費用が未払いとなっている場合は、令和2年1月23日最高裁決定に基づき、「婚姻費用分担請求権は消滅しない」とされたため、離婚後も遡って請求できることになっています。

この請求には時効があり、原則として5年ですが(民法166条1項1号「債権等の消滅時効」)、婚姻費用が裁判などで決定された場合は10年になります(民法169条1項「判決で確定した権利の消滅時効」)。できるだけ早い段階で請求することをおすすめします。

また、双方の合意がある場合は、「扶養的財産分与」として、一時的に生活費を受け取ることも可能です。これは、一方の不法行為などが原因で離婚を余儀なくされたにもかかわらず、もう一方が離婚後に経済的に困窮することが予想される時に、子どもの養育費や不法行為に対する慰謝料とは別に、生活費を考慮した財産分与ができる場合があるものです。

法で定められた義務ではないため、年齢、婚姻期間、健康状態、仕事や親権の有無などを考慮して、話し合いで決められます。なお、未払いでも、法による強制力はありません。

養育費の請求

熟年離婚をする時に未成年の子どもがいる場合、親権者でない親には、原則として、子どもの養育費を支払う義務が生じます。養育費の金額は、親の収入、子どもの年齢と人数、生活費など、さまざまな要素を考慮して算定されます。裁判所が公開している「養育費算定表」を参考にするのもいいでしょう。

養育費についても、婚姻費用と同様に5年または10年の時効があるため、注意が必要です。支払いが滞った場合、まずは、相手に直接または内容証明郵便で請求する方法があります。相手が応じない場合は、裁判所を通じて、調停や勧告や命令を行ってもらいましょう。

それでも支払いが行われない場合、財産を差し押さえて、強制執行により未払い分を回収することができます。請求を忘れないように注意してください。

財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚時に公平に分割するものです。夫婦双方に認められた法律上の権利(民法768条1項)であり、婚姻費用の分担義務(民法760条)を根拠としています。基本的には、夫婦共2分の1ずつに分割するものとされています。

財産分与の対象になるのは、夫婦が共同で所有する財産(共有財産)です。例えば、金融資産(預貯金や有価証券、退職金、厚生年金や個人年金、生命保険の満期金や解約返戻金)、動産(車、家財道具や電化製品、美術品や骨董品、貴金属など)、不動産(土地や建物)などが含まれます。プラスの財産だけでなく、婚姻期間中に組んだローンなどの債務も、同様に財産分与の対象となります。

財産分与の対象にならないのは、夫婦の一方が婚姻前からまたは単独で所有していた財産や、相続や贈与で得た財産、個人的にした借金(特有財産)です。また、共有財産を一方の特有財産として、財産分与の対象外とすることもできます。なお、特有財産を主張するためには、証拠が必要です。

財産分与は、夫婦の共有財産を正確に把握した上で、分与の方法を夫婦の話し合いで決めることもできますが、合意に至らない場合は、裁判を介して決めることもできます。

なお、財産分与には、権利行使ができる期間として、2年間の除斥期間が定められています(民法768条2項)。除斥期間を過ぎると権利が消滅してしまうため、離婚前または離婚後速やかに財産分与の請求を行いましょう。財産分与の内容を決めたら、財産の移転や名義変更を行い、合意内容を公正証書にしておきましょう。

慰謝料の請求

慰謝料とは、不法行為によって精神的な苦痛を受けた場合に、加害者に対して請求できる損害賠償金です(民法709条「不法行為による損害賠償」、710条「財産以外の損害賠償」)。

熟年離婚の原因が、浮気や不倫などの不貞行為、DVやモラハラ、悪意の遺棄(民法752条「同居、協力及び扶助の義務」)だった場合は、被害の種類や内容、程度に寄らず、苦痛からの回復のためにも、離婚後の生活維持のためにも、慰謝料請求の検討をおすすめします。慰謝料は、話し合いで解決することもできますが、合意に至らない場合は、裁判で争うこともできます。なお、不法行為への慰謝料請求には、証拠が必要です。

生活保護の申請

生活保護は、資産や収入が少なく、生活が困難な状態にある人を対象に、国が最低限度の生活を送る支援をする制度です。自立までの一時的な支援のため、受給者は、能力に応じた勤労、健康の保持と増進、節約、生活の維持と向上への努力をする義務があります(生活保護法60条)。また、受給開始後も、経済事情や生活状況、家族構成などに変化があった場合は、申告する義務があります(生活保護法61条)。

熟年離婚後は、経済的基盤に大きな変化があることも多く、生活が不安定になる可能性も高くなります。できるだけ早く経済的な自立ができるように、就職活動や資格取得など、積極的な努力が必要ですが、離婚後の生活に不安がある場合は、生活保護の受給を検討してもいいでしょう。

生活保護の申請には、居住地の福祉事務所に相談する必要があります。資産や収入の証明などを提出し、家庭訪問や資産と扶養者の調査を経て、審査結果が通知されます。

心の準備

先で述べた通り、熟年離婚後の生活で懸念されることとして孤独感があります。夫婦や親子、親戚などの肉親以外との人間関係を積極的に構築せず、友人とも疎遠になっている場合、離婚後に孤立してしまったり、家に引きこもりがちになったりする可能性があります。

旧友と再会する、新しい趣味を見つける、興味のある分野の勉強会やオンラインコミュニティに参加する、地域の行事やボランティアに参加する、ペットを飼うなど、自分に合う活動を見つけることで、離婚後も充実した生活を送ることができ、孤独感を軽減できます。共通の趣味や目標を持つ人たちと知り合うことで、友達の輪を広げることもできるでしょう。無理せず続けられるものを、いくつか見つけておくことが鍵です。

健康状態の確認

熟年離婚をすると、健康状態を客観的に、日常的に観察してくれる人がいなくなるため、心身を健康に保つことはとても大切です。健康状態を事前にしっかりと確認し、万全の準備を整えてから、離婚を決断することが大切です。

体の健康状態は、健康診断や人間ドックを利用して、総合的に確認してもらうといいでしょう。離婚後は、仕事と家事などを両立させ、得手不得手にかかわらず、ひとりでこなす必要がでてきます。健康状態が良好でないと、日常生活に支障をきたす恐れがあります。

心の健康状態は、メンタルクリニックやカウンセラーを受診して、現在の状態を確認し、離婚への不安についても相談するといいでしょう。熟年離婚は、人生の大きな転機となります。精神的に不安定だと、離婚による不安やストレス、孤独感から、適応障害やうつ病、自律神経失調症などの精神疾患を発症するリスクが高まります。

健康状態に問題があることが判明した場合は、適切な治療やケアをきちんと受け、仕事と家事の軽減や、緊急連絡先の確保など、離婚後の生活設計を見直す必要があるかもしれません。時には、健康が回復するまで、離婚自体を延期または中止することも大切です。

子どものケア

熟年離婚は、夫婦だけでなく子どもにも、大きな変化をもたらすものです。子どもの自立まで待って、熟年離婚に踏み切る夫婦も多いですが、子どもがいくら年齢的、精神的、経済的に自立していても、長年にわたり一緒に暮らしてきた両親の離婚に動揺し、不安や寂しさ、怒りなど、複雑な感情を抱くのが普通です。

親の離婚を受け入れられるまでには時間がかかるかもしれませんが、離婚後も子どもが安心して幸せに暮らせるように、一番身近な理解者として、子どもの気持ちに寄り添い、悩みや苦しさに耳を傾けて、適切なアドバイスやサポート、心のケアを怠らないことが重要です。進学や就職など、子どもの将来への希望や心配についても、よく話し合い、一緒に考えてサポートしましょう。

子どもが自立している場合は、同居や近距離別居の希望があるか、定期的な面会や連絡の頻度についても、子どもの意見を聞くことをおすすめします。

離婚は、夫婦が決めることであり、子どもには子どもの思いや考えがあります。離婚後も、子どもにとっては大切な両親のままであることが多いため、夫婦はお互いに、相手を悪く言うことは避けなければなりません。離婚後に、親権や監護権を持たない親と子どもが会いにくい状況になることもありますが、子どもの意思を尊重し、子どもの健全な成長と幸せのために、親同士はできる限り良好な関係を築き、協力し合うことが大切です。

ペットの飼育者の決定

夫婦でペットを飼っていた場合、熟年離婚に伴って、どちらが飼育するか、里親を探して引き取ってもらう必要があるかを考えることは、重要な問題です。長年一緒に暮らしてきたペットと離れることで、ペットロスなど精神的な負担になることも多く、またペットにとっても、家族構成や生活環境の変化でストレスを感じることも多いでしょう。

ペットの幸せを第一に考えれば、夫婦のいずれかが引き取ることが、望みうる最適な解決策のように思われますが、さまざまな事情でそれが叶わない場合は、慎重に新しい飼い主を探す必要があります。

その際に考慮すべきことは、ペットの年齢や健康状態、性格や特性、新しい飼い主の生活環境や相性などです。総合的に、ペットに新しい環境が合わないと判断したら、無理に進めず、他を当たりましょう。引き取り手が見つかるまでは、一時的にペットホテルや動物保護施設に預けることも可能です。

熟年離婚の方法と手続き

熟年離婚を進める方法としては、大きく分けて、話し合いによる協議離婚、裁判所を介する離婚調停や離婚裁判の2種類に分かれます。離婚で必要な手続きと、検討すべき手続きも併せて、詳しく解説します。

協議離婚

夫婦での話し合いで離婚の合意が成立する場合は、「協議離婚」による離婚となります。裁判所を通さずに、夫婦で離婚の条件(財産分与、慰謝料、親権など)を話し合って決める方法です。裁判費用も時間もかからず、双方が納得のいくまで話し合うことができます。

協議離婚では、双方の署名と押印のある離婚届や、財産分与や養育費など合意事項をまとめた離婚協議書を作成します。離婚協議書は公正証書にしておくと、強制執行が可能になり、後のトラブルを回避できます。

離婚調停・離婚裁判

話し合いで離婚の合意が成立しない場合は、裁判所を介して、離婚調停や離婚裁判へと進みます。

離婚調停は、裁判所が夫婦の間に入って、双方の意見を調整して離婚に向けた話し合いを進めるものです。離婚調停でも合意に至らなければ、離婚裁判に移行します。離婚裁判では、裁判官が離婚に関する争点を判断し、離婚の可否を決定します。

離婚に関する手続き

熟年離婚で必ず必要になる手続きには、離婚届の提出、住民票の移動、年金分割があります。検討した方がいい手続きには、遺言書の作成、生命保険の見直し、住宅ローンの名義変更などがあります。

特に、遺言書は、自分の意思に沿った遺産配分が可能になり、財産分割や相続のトラブルを回避できるため、おすすめです。自筆で全文を書く「自筆証書遺言」、公証人が作成する「公正証書遺言」、遺言内容を秘密にする「秘密証書遺言」があり、家庭裁判所での検認が必要になる場合があります。また、紛失や改変・破棄などを避けるために、法務局に預ける遺言書保管制度もあります。

遺言書の内容や形式に不備があると、無効となる可能性があるため、法的に有効で、明確で具体的な内容のものを作成するようにしましょう。状況や考えの変化に応じて、定期的に見直すことも大切です。

専門家への相談

熟年離婚は、長期にわたる結婚生活に終止符を打つ行為で、心身共に大きな負担となる可能性があります。また、離婚手続きは、離婚届一枚を記入して提出すれば済むものではなく、婚姻費用や養育費の請求、財産分与、必要に応じて慰謝料の請求や遺言書の作成まで、多岐にわたります。

新しく希望に満ちた生活を始める前に疲労困憊してしまわないために、弁護士や司法書士、探偵などの専門家に相談することもおすすめです。法的に有効な証拠の収集、各種書類の作成、裁判に勝つためのアドバイスなどのサポートを受けることができます。

まとめ

熟年離婚は、長年の結婚生活の末に起こる複雑な問題です。価値観の相違や家事分担の不均衡、ストレスの増加、依存症、不貞行為やDV・モラハラなど、背景にはさまざまな原因があります。

離婚には自由な人生や経済的自立、ストレスからの解放などのメリットがある一方、孤独や経済的不安、子どもへの影響などのデメリットも存在します。熟年離婚を後悔しないために、十分考慮する必要があります。また、離婚を決意する前に、時期や住居、経済面、心理面、健康面、子どもやペットのケアなど、多角的に準備しておくことがとても大切になります。特に、収入源の確保や財産分与、養育費や慰謝料などの金銭的な問題は、慎重に検討して、対処しましょう。

離婚の方法には協議離婚と調停、裁判があり、それぞれの状況に応じて適切な方法を選びます。離婚には、法律の専門的な知識を要する手続きが付きまとうため、難しさを感じたら、弁護士や司法書士などの専門家に早めに相談するのも有効です。

熟年離婚は人生の大きな転換点です。冷静で客観的かつ柔軟な判断をした上で、準備は計画的で周到に行いましょう。悔いのない熟年離婚を成し遂げることで、その後の人生が、より良いものになると思います。希望に満ちた新しい人生の始まりをお祈りしております。

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