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雇用前に行う調査(採用調査)とは【探偵インタビュー】


従業員を雇用する際は、応募者の経歴・申告内容を確認するために「採用調査」を実施するケースがあります。

採用調査を行うことで、採用後のミスマッチ・応募者の経歴詐称などを未然に防ぐことが可能です。

ただ、採用調査で実際にどのようなことを行うのか把握できていない方が多いと思います。

この記事では20年以上の探偵歴を持つ現役探偵に、採用調査のイロハをテーマにして詳しくインタビューしていきます。

本日はよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

まずいきなりなのですが、雇用前に行う「採用調査」について、詳細をお聞きしても良いでしょうか?

はい。採用調査では応募者の経歴詐称・申告内容に虚偽がないか調査していきます。

経歴詐称では「学歴」「職歴」を偽るケースが多いため、まずはこれらの情報を調査していきます。

学歴の確認方法としては「本人に卒業証明書を提出させる」「本人から委任状を取り、採用担当者または探偵が代理で取得する」などの方法があります。

実際に卒業していれば、卒業証明書を取得できないというのはあり得ません。証明書の取得ができない場合は、学歴詐称している可能性が高くなります。

職歴の確認方法としては、本人に「在籍証明書・退職証明書を提出させる」方法が一般的です。また前職の会社に直接電話して在籍確認・聞き込みを行うこともあります。

なるほど、証明書があれば学歴・職歴は一発で明確になりますものね。ただ近年は証明書を上手く複製して提出する人もいそうですが…

たしかに、卒業証明書の複製は難しいところがありますが、在職証明書の場合だとフォーマットを似せて作り込む人も一定数います。

ただ、経歴に見合った能力がなかったり、仕事の成果が著しく悪いなど、実際の仕事ぶりを通じて経歴詐称に気づくケースも少なくありません。

経歴だけ飾っても、結局バレてしまうということですね。

はい、その通りです。ただ客観的に経歴詐称を証明するためには、調査が不可欠になります。

仕事ぶりのみで判断して解雇することは、現代の日本企業では難しいですからね。

採用後に経歴詐称に気づいて対処することもできますが、やはり雇用前に調査を行っておくのが一番安心です。

学歴・職歴以外にも採用調査で扱う項目はありますか?

学歴・職歴以外にも、前科や訴訟歴、破産歴、反社チェックなどの調査を実施します。

ただ前科に関しては完全非公開の状態になっているため、客観的な情報を取得するのが難しいのが現状です。

よく「前科があると就職できない」と言われていましたが、それは刑事から直接犯罪歴を教えてもらえた時代の話です。

実際は特定の人物の犯罪歴を正確に調査することは難しい状態となっています。

現在でも使える方法としては、有料メディア等を使って過去の事件をチェックするなどは可能ですが、事件自体がメディアに取り上げられていない場合は、どうしても完璧に前科の確認を行うことは難しくなってきます。

どうにか前科チェックもしたいのが企業の本音ではありそうですが、仕方ない面もあるのですね。

調査対象者の素行調査を行うことで、対象者の性格や生活態度などを確認することもできます。

不審な行動を日常的に行っている人物であると、何かしら問題を抱えている可能性があるものです。

決定的・客観的な情報とはなりませんが、今現在の素行面を調査することは、前科確認を補うための材料として有用になります。

なるほどですね。素行調査まで行えば、採用候補者の人となりをある程度把握できますものね。訴訟歴・破産歴に関しても正確なチェックは難しいのでしょうか。

訴訟歴に関しては、裁判所が公開している訴訟記録をもとにして調査可能です。

ただ、訴訟記録には「当日の事件番号」「原告・被告の氏名」などの基本情報が掲載されているのみです。

このため、過去の訴訟情報をピンポイントで収集するのはなかなか難しい状態になっています。

ただ大都市に限定すれば、過去十数年に遡って訴訟の照会が可能なデータベースを構築している探偵事務所も少なくありません。

採用調査を依頼する際に、どのようなデータベースを保有しているのかを確認するのがおすすめです。

破産歴の確認では、官報に記載された破産情報の確認、各種データベースを通じた情報検索を行います。

自己破産した人物・企業は官報に情報が記載されるため、第三者でも破産者を把握可能です。

ただし、探偵がクレジットカード会社・消費者金融などのブラックリストを確認することはできません。

あくまでも公的情報を通じた調査になります。

そうなんですね。ところで、ここまで解説して頂いた採用調査を行う上で、注意すべき点などはありますでしょうか?

採用調査であっても、禁止されている行為が複数あります。

たとえば、「採用候補者の人種、出生・出身地などを差別目的で調べる行為」「信仰する宗教や性的マイノリティに関する項目で採用候補者を判断する行為」「差別や偏見、本人の不利益となる手法を用いて調査を行うこと」は禁止されています。

探偵側も上記の行為に該当する調査を請け負ってはいけません。

差別行為に繋がる調査はNGなのですね。たしかに、昔の日本は出自や家柄で採用が左右されるケースもありましたからね。通常の採用調査自体は、法的に問題ないのでしょうか。

通常の採用調査自体は、法的に禁止されていません。

よく「採用調査は法的に問題があるのでは?」といったご不安を抱えている採用担当者の方もいるのですが、採用調査を禁止する法律はないので安心してください。

それは安心しました。何で日本では「採用調査=違法」といった思い込みが生まれるのでしょうか?

おそらく、人の信用調査をすることに対して後ろめたさを感じる国民性だからだと考えられます。

人を信用することが美徳であるといった文化があるので、採用調査に対してネガティブな印象を持たれている方が多いのだと思います。

ただ、先進国では雇用時の採用調査・バックグランド調査は当然のように実施されるケースが多いです。

雇用する側にも「採用する人を調べる権利がある」といった考え方が、欧米諸国では特に強いですね。

採用後のミスマッチを防ぐためにも、欧米諸国では積極的に採用調査が実施されています。

なるほど。日本でも国民性や文化的な背景を気にせずに、採用調査を行った方が良い気がします。

その通りだと思います。経歴詐称をする採用候補者は、どうしてもゼロにはなりません。自社が不利益を被らないよう、採用調査を行って客観的な情報を集めるのは大切です。また採用後のミスマッチを生まないためにも、採用調査で経歴・スキルの裏付けを取っておけば安心できます。

ありがとうございました。それでは最後に採用調査のスペシャリストとして何かメッセージがありましたらお願いします。

採用調査は、採用担当者の方がすべて自身で行うのはなかなか難しいです。

もちろん、証明書の提出など各種書類の提出を促すことはできますが、経歴詐称や素行調査など込み入った調査を行うには時間・労力がかかります。

私たち探偵は、依頼者の方が求める情報・調査目的を理解した上で、迅速かつ着実に情報を集めていきます。

採用調査を行いたい方、採用者の情報判断でお困りの方は、ぜひご相談ください。

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