配偶者が自白をしたことによって、浮気・不倫の事実を知るというケースがあります。
その事実を聞き、離婚や慰謝料請求を検討する方も多いのではないでしょうか。
しかし、そのような措置を採る場合、配偶者からの自白を法的な証拠として取り扱うことができるのかという疑問が浮かびます。
そこで、本記事では「不貞行為の自白が証拠になるのか」「自白を証拠とするために重要なポイント」「自白を得る際に注意しなければならない点」などを詳しく解説します。
目次
浮気・不倫の証拠には不貞行為の立証が必要
浮気・不倫を働いた者には、不法行為による損害賠償責任が発生します。
しかし、この損害賠償請求が認められるためには、実際に不貞行為があったことを証明する必要があります。
この事実証明は、慰謝料請求を求める側がしなくてはならず、そこで必要となるのが、不貞行為を証明できる証拠です。
そして、その証拠には「不貞行為の立証」が必要となります。
そもそも「不貞行為」とは「配偶者をもつ男女が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の異性と肉体関係を結ぶこと」を指します。
つまり、これらを照らし合わせると「自由な意思に基づいて、異性と肉体関係を結んでいることを証明できるものが、浮気・不倫の証拠となる」ということになります。
逆をいえば、これに該当しないものは、浮気・不倫の証拠にはなりません。
まずは、このことを押さえておきましょう。
不貞行為の自白は証拠として有効なのか
浮気・不倫の証拠には、不貞行為の立証が必要であることを確認しました。
では、配偶者による不貞行為の自白は、証拠として有効なのでしょうか。
結論から申し上げると、不貞行為の自白は浮気・不倫の証拠になります。
なぜなら、先にも述べたように、不貞行為の立証をできるものが浮気・不倫の証拠となるためです。
例えば、配偶者が「〇月△日に、他の異性と性交を行った」という自白をすれば、それは不貞行為の立証をしていることとなります。
このことから、基本的に「不貞行為の自白は浮気・不倫の証拠となる」と考えられます。
しかし、例外的に自白が証拠とならないケースがあります。
それは、「自白の記録を取っておらず、配偶者が自白をしたという証明ができない場合」です。
例えば、実際の訴訟の場において、相手が事前に話していた自白の内容を赤裸々に話せば、浮気・不倫の事実認定をすることができますが、「そんなことは言っていない」と手のひらを返す可能性は十二分にあります。
このように相手が自白したことを否定してしまった場合、事前に記録をしていなければ、そもそも自白はなかったこととなってしまいます。
つまり、「配偶者の浮気・不倫の自白を聞いたという当事者の証言だけでは不貞行為の証拠にはならず、自白を録音や書面として記録していた場合に初めて不貞行為の証拠となる」ということになります。
不貞行為の自白をさせる方法とは
不貞行為の自白が証拠になることが分かったところで、実際に不貞行為の自白をさせる方法をご説明します。
最も有効な方法は、「浮気・不倫の情報や証拠を可能な限り集めた上で、それを基に配偶者に問い詰めをして、自白をさせる」というものです。
配偶者に対して問い詰めをした際に、最も想定されるのは、「そんなことはしていない。そういうなら証拠を出せ」という返答です。
こう反論された場合に、実際にその証拠を出すことができなければ、それ以上問い詰めることはできず、結果としてシラを切られてしまいます。
さらに、このように問い詰められたことで、不倫を勘ぐられていると配偶者が感じ、すぐに残っていた証拠をすべて抹消してしまうかもしれません。
こうなってしまえば、その後においても、配偶者の不倫の事実を追及することが一切できなくなってしまいます。
そのため、不倫を疑うに至った理由やその根拠となる証拠をある程度収集し、それを配偶者に示した上で問い詰め、自白をさせる方法が最も有効となります。
では、実際に「問い詰める際に必要となる証拠」にはどのようなものがあるのでしょうか?
最も入手しやすい証拠としては、「メールやLINE、その他のSNSのトーク履歴」が挙げられます。
配偶者の携帯電話から、不倫を推測できるトーク履歴を見つけることができれば、これを基に配偶者を問い詰めることができます。
その他にも、「覚えのないラブホテルの利用履歴や領収書」なども、配偶者を問い詰めることのできる証拠となるでしょう。
さらに確実な証拠として、「浮気相手との親密な関係が窺える場面やラブホテルに入る場面を押さえた写真や動画データ」がありますが、これを一般の個人が入手するのは困難ともいえます。
いずれにしても、「配偶者が言い逃れをできないように証拠を押さえた上で問い詰める」ということを念頭に置いておきましょう。
不貞行為の自白をさせる際に気をつけること
配偶者に不貞行為の自白をさせる方法をご紹介しましたが、これを行う際に気をつけなければならないポイントがいくつかあります。
それぞれ確認していきます。
①強制的に自白をさせない
まずは、自白をさせるために問い詰める際に、「強制的な方法で自白をさせない」ということです。
もし本当に不倫の事実があったとしても、強制的な方法によって自白をさせていた場合、配偶者がそのことについて「無理やり自白させられた」などと主張をすれば、その自白は無効となってしまうかもしれません。
例えば、「『白状をするまでここから出さない』と言って脅す」、「胸ぐらを掴み恫喝する」といった方法を採れば、自白の無効どころか、却ってこちらが強要罪や脅迫罪、暴行罪に問われてしまうかもしれません。
相手が不倫をしているという事実に対する怒りから、感情が高ぶってしまうかもしれませんが、あくまで冷静に自白をさせるということを意識しておきましょう。
②証拠がない状態で問い詰めない
そもそも、配偶者の不倫をなぜ疑うことになったのでしょうか?
これには、「配偶者のSNSのトーク履歴を見た」、「友人・知人が不倫現場を目撃しそれを聞いた」など、さまざまな理由が考えられます。
しかし、この際に証拠もなく配偶者にそのことを問い詰めても、うまく言い逃れをされてしまう、シラを切られてしまうということになるかもしれません。
また、もしかすると何かの勘違いで、実際には不倫はしていなかったということも考えられます。
不倫の事実がないにもかかわらず、証拠もなく配偶者を問い詰めたことで、配偶者からの信頼を失い、夫婦関係が悪化するということに繋がってしまうかもしれません。
「証拠がない状態で配偶者を問い詰める」ということはしないように心がけましょう。
③証拠を集める際の違法行為に注意する
不貞行為の自白をさせるために問い詰める際は、浮気・不倫の証拠を集めた上で問い詰めることが重要であることは、先に確認したとおりです。
しかし、この証拠の収集にあたり「違法行為に抵触しないように注意をする必要」があります。
特に注意が必要な場面は、「配偶者と浮気相手の不倫の事実を捉えた写真や動画データを収集する際」です。
これらのデータを収集するためには、尾行を行い、隠し撮りをするといった方法が必要とされます。
しかしながら、一般の個人がこういった行為を行えば、ストーカー行為やプライバシー権の侵害に該当し、違法行為と判断されてしまうかもしれません。
そうなってしまえば、浮気を問い詰める以前に、こちらの違法性が問われることとなってしまい、本末転倒です。
不倫の事実を問い詰めたい一心から過剰な行動で証拠収集に走り、違法行為に触れるといったことがないように、十分に注意をしましょう。
不貞行為の自白だけで慰謝料請求は可能なのか
配偶者の不貞行為の自白は証拠になりますが、このような自白だけで実際に慰謝料請求をすることは可能なのでしょうか?
結論、原則的に不貞行為の自白だけで慰謝料請求をすることは可能です。
不貞行為に対して慰謝料の請求を行うために必要とされるのは、「不貞行為の事実認定」です。
先に述べたように、自白は立派な不貞行為の証拠であり、これをもって不貞行為の事実認定をすることができるため、自白という証拠単体でも、慰謝料を請求すること自体は可能ということになります。
裁判で確実に勝つためには
不貞行為の自白だけでも、慰謝料を請求すること自体が可能であることは確認したとおりです。しかし、請求自体ができても、それが認められるかどうかは別問題です。
実際、不貞行為の自白という証拠だけでは、たとえそれを記録に残していたとしても、相手がうまく言い逃れを図ることで慰謝料請求が認められないということも十分に考えられます。
ここでは、裁判で慰謝料請求が確実に認められるための方法をご紹介します。
①「本人の意思により肉体関係があったこと」を確認できる自白の記録を収集する
配偶者による不貞行為の自白を証拠とするためには、録音や書面で記録を残すことが必要であることを確認しました。
しかし、ここで注意をしておかなくてはならない点は、その自白から「本人の意思により肉体関係があったことを確認できなければならない」ということです。
先にもあったように「不貞行為」とは「配偶者をもつ男女が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の異性と肉体関係を結ぶこと」を指します。
「自由な意思に基づいて」というのは、「本人の意思決定によるもの」であることを指します。例えば、強姦や強制性交などは、本人の意思決定によるものではないため、当然不貞行為にはあたりません。
そして「肉体関係を結ぶこと」とあるように、性的な身体接触がなければ、不貞行為とはなりません。「デートをした」「ハグやキスをした」といった行為だけでは、不貞行為とはならないのです。
これらのことから、配偶者本人の意思による不倫であったことを確認できる「不倫に至った動機」と肉体関係があったことを確認できる「具体的な不貞行為の内容」を記録しておくことが大切です。
書面や録音にて、自白の記録を残す際には、これらの内容を必ず押さえておくように留意しましょう。
これらを踏まえた上で、文書(念書)の形式で自白の記録を残す場合に必要となるのは以下の項目です。
・書面作成の日付
・不貞行為の期間(及び回数)
・不貞行為に至った動機
・具体的な不貞行為の内容
・不貞行為を行った場所
・不貞を働いた相手方の情報(氏名や住所等)
・配偶者の署名と捺印
基本的にはこれらの項目が記載されていれば有効な証拠となります。
また、書面ではなく録音にて記録を行う際にも、これらと類する内容の旨を記録しておきましょう。
②自白の他にも証拠を収集する
自白は有効な証拠となり得ますが、その他にも不貞行為の事実が確認できる証拠を収集し、それらと組み合わせることで、慰謝料請求が認められる可能性が高まります。
その他の不貞行為の証拠としては、「手を繋ぐ、キスをしている場面を押さえた写真や動画データ」や「メールやLINEなどのSNSのトーク履歴」などが挙げられます。
これらも自白と組み合わせることで有用な証拠となり得ますが、特に有効なのは、「不倫相手とラブホテルに入る場面を押さえた写真や動画データ」です。
ラブホテルは性行為を行う目的で使用される施設であるため、たとえ「入っただけで行為はしていない」などと言い逃れをしても、その言い逃れを退けるほどの非常に強力な証拠です。
しかし、その一方で、この証拠を押さえるためには、「張り込み、尾行、隠し撮り」などを行う必要が生じます。
先の内容にもあったように、これらを一般の個人が行えば、ストーカー行為やプライバシー権の侵害に該当し、違法行為とみなされてしまうかもしれません。
そこで考えられるのが、「探偵に依頼する」という手段です。
一般の個人には違法とされる可能性がある「張り込み、尾行、聞き取り、隠し撮り」といった調査方法を行うことが、探偵には法的に認められています。
そのため、探偵に依頼をすれば、こういった調査方法にて強力な証拠を複数押さえることが可能となり、慰謝料請求が認められる可能性がより高くなります。
さらに、自白以外の証拠を押さえておくことには、別のメリットもあります。
それは、「その証拠によって、不倫相手に対しても慰謝料請求を行うことができるようになる」ということです。
配偶者による不貞行為の自白という証拠だけでも、配偶者に対しての慰謝料請求は認められるかもしれません。
しかし、この証拠だけで、同時に不倫相手に対して慰謝料請求をすることは、基本的に難しいと考えられます。
なぜなら、「配偶者による自白」は、あくまで「配偶者によるもの」であるからです。
自己にとって不利益な発言となる自白は、その発言をした本人に対してはその効力が認められますが、浮気相手に対しては、基本的に効力が及ばないと考えられます。
配偶者による自白の証拠のみで慰謝料請求をする場合、あくまで請求をすることができるのは、「配偶者のみ」です。
しかし、それ以外にも先に挙げた「不倫相手とラブホテルに入る場面を押さえた写真や動画データ」のような、浮気相手もその対象となる確固たる証拠の収集ができれば、配偶者のみならず「浮気相手にも」慰謝料を請求することができます。
このように、探偵に依頼をして、自白の他にも証拠を収集しておくことは、「配偶者に対しての慰謝料請求の確率を上げることができる」と同時に、「浮気相手にも慰謝料請求を行うことができ」、非常に有用です。
また、そもそも「不倫の疑いがあるけれど、本当に不倫をしているか分からない」といった場合にも、探偵に依頼をすれば事実確認を行うことができ、それと同時に証拠の収集を行うことができるため、やはり「探偵に依頼をする」という手段は、非常に有効であるといえます。
③弁護士に依頼をする
実際の裁判では弁護士に依頼をし、慰謝料請求の訴訟を提起することが基本となります。
弁護士を雇わずに、本人が訴訟を起こすことも可能ですが「提訴の手続きが分からない」、「難解な法律用語や条文を理解しなければいけない」、「法的な知識を駆使した上で、論理的に主張をしなければいけない」、「裁判にかかる大きな負担をひとりで抱え込まなければならない」など、さまざまなリスクが伴います。
最悪の場合、せっかく証拠を収集したにもかかわらず、専門知識がないことから敗訴してしまうということも考えられます。
これらのリスクを考慮すると、費用はかかるものの弁護士に依頼をすることが、確実に慰謝料請求をするにあたり有効な手段といえます。
また、弁護士への依頼によってそもそも「訴訟を提起せずに示談交渉で話をまとめる」という方法を採ることもできます。
本人が示談交渉を行う場合、訴訟の場合と同様に「専門的な法律の知識を有しないため交渉が難航する」、「相手にうまく言いくるめられ不当に慰謝料の減額をされる」、「相手との直接的な交渉となるため精神的な負担が大きい」といった、さまざまなリスクが伴います。
一般的な流れは「示談交渉をし、妥結に至らなければ訴訟」というものになりますが、弁護士であれば、こういった個人には難しい判断や手続きを一任することができます。
総合的に考慮すると、裁判で確実に勝つためには、やはり「弁護士に依頼をすること」は有効な手段であることが分かります。
まとめ
この記事では「不貞行為の自白が証拠になるのか」という点を主に確認しました。
不貞行為の自白は有効な証拠となりますが、そのためには「押さえておかなくてはならないポイント」や「気をつけなくてはならないポイント」があります。
万が一手段を誤れば、却ってこちらが不利な立場になり、最悪の場合は「違法行為により処罰を受ける」といった事態に陥ってしまうかもしれません。
確実かつ安全に慰謝料請求を行う場合、「探偵に依頼をして不貞行為の確固たる証拠を収集する → 弁護士を雇いそれらの証拠を基に慰謝料請求をする」というプロセスを辿ることが最良と言えるでしょう。そのためにもまずは探偵への相談が第一歩となります。
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