不貞行為とはどこからか？浮気や不倫との違いや離婚につながる流れを解説

配偶者の浮気や不倫は、他方の同意なく第三者と性的関係を持った場合、不貞行為として法律で罰せられます。この記事では、どこからが不貞行為に当たるか、浮気や不倫に気付いたら行うべきこと、法的に有効な証拠とは何か、探偵や弁護士に依頼するメリット、離婚裁判の事例など、不貞行為について詳しく解説します。自分の身を守るためには正しい知識と対処法が必要です。ぜひ参考にしてください。

民法で見る不貞行為の定義｜浮気・不倫との違い

幸せそうに見える夫婦でも、配偶者の浮気や不倫に悩んでいる方はたくさんいます。辛い状況から抜け出すには、最良の選択と対処ができるような正しい知識が必要です。まずは、配偶者の行為が法律で罰せられる不貞行為に当たるのか、浮気や不倫との違いについて知りましょう。

不貞行為は、民法770条（裁判上の離婚）1条1項で離婚事由として規定されており、「配偶者に不貞な行為があったとき離婚の訴えを提起することができる」ことが定められています。不貞行為の定義については、最高裁で「配偶者のある者が自由な意思にもとづいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」とする判例が出ています。

民法752条（同居、協力及び扶助の義務）では、「夫婦は同居し互いに協力し扶助しなければならない」と夫婦の基本的な義務を定めています。この本質に照らし、婚姻関係にある夫婦の一方または双方が第三者と性的関係を結ぶ行為は、互いの信頼を裏切り「貞操義務」に違反する行為であると考えられています。

浮気や不倫は法律用語ではないため、法律上の明確な定義はありません。そのため人によって線引きが異なりますが、一般的には配偶者以外の異性に恋愛感情を持ち、親密な関係を持つことを言います。肉体関係の有無にかかわらず未婚者同士で短期的なものを浮気、一方または双方が既婚者で長期的なものを不倫と呼ぶ傾向があります。

不貞行為とはどこからを指すか｜肉体関係の有無で決まる

それでは、どのような行為から不貞行為とされるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

法律で罰せられる不貞行為として認められるかどうかは、配偶者の一方が、他方以外の第三者と性的行為を行ったかどうかで判断されます。性的行為とは、いわゆる性交だけでなく性交類似行為も含みます。また、性的行為がない場合でも、平穏な婚姻生活の継続に重大な影響を及ぼす行為については、不貞行為と認められることがあります。不貞行為を行った相手の未婚・既婚は問われません。また、法的な婚姻関係にない場合でも、婚約期間中、内縁関係や事実婚、同性同士のカップルは、婚姻に準ずるとして裁判で認められたケースがあります。

不貞行為にならない場合

浮気や不倫の場合は、性的関係が要件とならないため、長期にわたる深い関係であっても性行為がないこともありますし、特に一方または双方に配偶者がいる場合は、恋愛感情を伝え合うだけでも、社会通念や倫理観に基づいて非難されることもあります。しかし一般的に浮気や不倫と認められる行為があっても、民法上の不貞行為には該当しない場合があるので、注意が必要です。

手つなぎ・ハグ・キスをした

手つなぎやハグ、キスなどの軽いスキンシップは、原則として不貞行為には当たりません。挨拶や励まし、親しみの表現として行われる、握手、ハイタッチ、肩を叩く、肩を組む、背中を抱く、頭をなでるなども同様です。被害者である配偶者にとっては、これらの行為は決して「軽いスキンシップ」などではありませんが、法律上は性交にも性交類似行為にも当たらず、不貞行為の要件である性的関係を結んでいるとは言えないためです。

ただし、相手に対する恋愛感情や性的な意図を持ってこれらの身体的接触を行い、夫婦関係の破綻につながるような場合、「配偶者の一方が他方の同意なく第三者と性的関係を結んだ」ことを証明するのに十分な事実であると判断されれば、不貞行為または民法770条1条5項の離婚事由「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性もあります。

食事などに出かけた

食事、映画・美術鑑賞、スポーツ観戦、コンサート・イベント参加、ペットの散歩、買物、デートなど二人きりで外出することも、原則として不貞行為には当たりません。仕事帰りの飲み会や社員旅行、仕事の外回りや客先訪問、出張、趣味の集まり、複数人での外出なども同様です。

ただし、深夜に密会する、頻繁にデートする、お互いの自宅を訪問する、二人きりで密室や車内に長時間滞在する、宿泊を伴う旅行に二人で出かけて同じ部屋で寝泊まりするなどの場合や、相手に対する恋愛感情を持ち、性的関係に発展することを意図して行った場合は、不貞行為に該当する可能性もあります。また、この行為だけでは不貞行為と認められなくても、補助的な証拠になることがあります。

メールやSNS上のやり取りをした

親密な内容のメールやLINE、SNSでのやり取りも、原則として不貞行為には当たりません。仕事や趣味、ご近所付き合いでの連絡や挨拶なども同様です。

ただし、明白な愛情表現、性的な内容や性的関係を示唆する内容、事実と異なる離婚の予定、配偶者への不満や夫婦の秘密の暴露、デートや旅行の約束、不貞関係を想起させる頻繁なやり取りなど、相手に対する恋愛感情や性的関係が表現されている場合は、不貞行為に該当する可能性もあります。また、この行為だけでは不貞行為と認められなくても、補助的な証拠になることがあります。

不貞行為が発覚したら行うべきこと

配偶者の不貞行為が発覚した場合は、相手を問い詰める前に、次のようなことをおすすめします。最終的に、別居する、離婚する、慰謝料請求する、再構築するなど、どのような形を望むとしてもすべきことは同じです。

相手に知られないように証拠を集める

まずは、不貞行為の証拠収集です。自分では不貞を確信していたとしても、証拠がなければ言い逃れされる可能性が高く、法的にも不貞行為と認められません。その時に特に重要になるのは、有責配偶者や不貞行為相手に気付かれないようにすることです。気付かれてしまうと、証拠が残らないように行動したり証拠の隠滅を図ったりする可能性があります。

証拠があれば有責配偶者と不貞相手に慰謝料請求ができますし、離婚するにしても関係修復するにしても有利に進めることができます。なお証拠は自分で集めることもできますし、探偵や弁護士など専門家に依頼することもできます。自分で集める場合は、違法な収集方法で逆に訴えられることがないように注意してください。また、専門家に依頼する場合は信頼のできる経験豊富な事務所を選び、費用や契約内容に注意してください。

離婚するか関係修復するか決める

証拠収集と同時に、不貞行為の事実を受け入れて関係修復を図りたいのか、不貞関係が解消されて慰謝料請求をすれば納得できるのか、慰謝料請求をした上で離婚を選択したいのか、自身の進むべき方向を検討しましょう。世間体や周囲の意見に惑わされず、自分の心によく聞くこと、再構築の可能性があるのか配偶者の言動をよく観察すること、離婚後の生活設計や子どもの将来などについても考慮することが大切です。

離婚する場合は弁護士に相談して慰謝料請求の準備をする

離婚する場合は、弁護士に相談して慰謝料請求や、離婚手続きの準備をすることをおすすめします。

不貞行為は民法上の「不法行為」に当たります。配偶者の不貞行為によって被った精神的・身体的苦痛に対する賠償金として慰謝料の請求が可能です。慰謝料の額は数十万円から数千万円と幅広く、不貞行為の内容や当事者の経済状態や身分などによって変わります。慰謝料請求には、不貞行為の事実と損害額を証明する必要があり、探偵の調査報告書など法的に認められる客観的で確実な証拠が必要です。手続きは自分で行うことも可能ですが、弁護士の専門的なアドバイスを受けることで、有利な条件で確実に進めることができます。

配偶者の不貞行為となる証拠とは

不貞行為を示談や裁判で証明するためには、法的に有効な証拠を集めることが必要不可欠です。配偶者や不貞相手の行動や不貞関係を明らかにする、次のような証拠を集めましょう。

SNSのDMやLINE

配偶者と不貞相手が送った、メール、LINE、WhatsApp、SNSのDM・投稿内容、スマホのSMSなどのメッセージや履歴は、行動把握と決定的な証拠、またはそれを補強する証拠になります。

メッセージの内容から、恋愛感情や性的関係の有無、二人の関係や継続期間、行動パターン、二人でよく行く場所・思い出の場所・最近行った場所、相手の容姿・名前・年齢・自宅・勤務先などの個人情報、言動の不一致など、さまざまなことが分かる可能性があります。

また、メッセージの日時や頻度により、不貞行為の日時や期間、回数や関係の深さを推測するのに役立ちます。もし不貞相手が誰か分からない場合は、頻繁にメッセージのやり取りや通話をしている人、削除したメッセージが多い人、登録名が不自然な人、着信音や着信設定を他とは変えている人などをチェックしてみるといいでしょう。

GPSの記録・交通ICカードの履歴

配偶者と不貞相手の移動履歴や位置情報は、行動把握と決定的な証拠を収集するための材料になります。

移動履歴や位置情報から、よく使う待ち合わせ場所・二人でよく行く場所・最近行った場所、よく使うホテル、相手の自宅・勤務先の場所、その場所に行った時刻・滞在時間、移動ルート・距離、会う頻度など、さまざまなことが分かる可能性があります。また、意図的に記録を中断したり、履歴を削除したりしている場合、その事実により、不貞行為の日時や場所、頻度を推測するのに役立ちます。

証拠になる移動履歴や位置情報を集めるには、配偶者のスマホやパソコンをチェックする、車のナビの履歴、GPSやドライブレコーダーの記録をチェックする、SuicaやPASMOなどの交通ICカードの履歴をチェックするという方法があります。

クレジットカードの明細・レシート

配偶者の支払い履歴は、行動把握と重要な証拠になり得ます。

支払い履歴から、二人で行ったレストラン・映画・コンサート・イベント、よく使うホテルや駐車場、旅行の滞在先・観光費・移動手段、プレゼント内容・金額など、さまざまなことが分かる可能性があります。また、支払い日時・場所・内容・金額、支払ったお店などの名前により、不貞行為の日時や場所、二人の関係性、相手の素性や自宅・勤務先を推測するのに役立ちます。

紙のレシートや領収書、クレジットカードだけでなく、電子決済（PayPay、Line Pay、楽天ペイ、d払い、au PAY、Apple Pay、Google Payなど）、交通系ICカード（Suica、PASMOなど）、共通ポイントカード（Tポイント、dポイント、楽天、Pontaなど）の明細や使用履歴もチェックすると良いでしょう。

証拠になる支払い履歴を集めるには、配偶者の各種明細・履歴・領収書・レシートをチェックするという方法があります。

写真・動画

配偶者と不貞相手の写真や動画は、重要な証拠になります。特に、不貞行為そのものの瞬間を記録したものが手に入れば、証拠として非常に強力です。

写真や動画は、不貞行為の直接証拠や間接証拠となる可能性があります。また、写真・動画の日時や撮影場所も、不貞行為の日時や場所を推測するのに役立ちます。もし不貞相手が誰か分からない場合は、保存している写真や動画やSNSに頻繁に登場する人、仕事や友人と会うと言って出かけた日に写っている無関係な人などをチェックしてみるといいでしょう。具体的には、次のような証拠を収集することをおすすめします。

・性交または性交類似行為そのもの、または行為を推測できるもの

・ホテルや密室になる場所、相手の自宅に出入りする様子

・恋人関係にある人がよく行くデートスポットやレストランに行く様子

ドライブレコーダーに録画機能があれば、次のような証拠も収集できます。

・配偶者の車に不貞相手が乗る様子

・配偶者の車内で親密な会話をする様子

・配偶者の車内でキスをする、抱き合う、不貞行為をする様子

・相手の容姿、自宅や勤務先の外観、所有している車の色・車種・ナンバー

証拠になる写真や動画を集めるには、配偶者のスマホやパソコンをチェックする、カメラ、SDカード・USBメモリ・ハードディスクなどの記録媒体、クラウドをチェックする、SNSの投稿・写真・動画をチェックする、ドライブレコーダーの記録をチェックする、自分で撮影する、探偵に依頼するという方法があります。

また、スマホやパソコンに、隠しフォルダや隠しファイル、パスワードをかけてロックしているもの、ファイル名を変更して意図的に内容を分かりにくくしているものなどがないか、注意して探しましょう。なお、加工したものは証拠として認められにくくなりますので、注意が必要です。

録音した音声

配偶者と不貞相手の音声は、重要な証拠になります。

音声は、不貞行為の直接証拠を補助する強力な間接証拠となる可能性があります。また、音声の日時や録音場所も、不貞行為の日時や場所を推測するのに役立ちます。具体的には、次のような証拠を収集することをおすすめします。

・性交または性交類似行為を推測できる音・声・会話

・不貞行為の内容や関係性に言及している会話・通話内容

・配偶者と不貞相手の会話・通話内容

・配偶者と不貞相手の連絡先・連絡方法

・相手の名前、自宅の最寄り駅・場所、勤務先名・場所

・配偶者と相手が使っている合言葉・暗号・合図

・デートの予定日時や場所

ドライブレコーダーに録音機能があれば、次のような証拠も収集できます。

・配偶者の車内での親密な会話内容

・配偶者の車内でキスをする、抱き合う、不貞行為をしている時の音・声・会話

証拠になる音声を集めるには、配偶者のスマホやパソコンをチェックする、ボイスレコーダーやドライブレコーダーの記録をチェックする、自分で録音するという方法があります。

探偵の調査報告書

探偵に調査を依頼すると、調査終了後に調査報告書が提供されます。調査報告書には、調査で収集できた音声・写真・動画・文書などの証拠を添えて、不貞行為の事実、不貞相手の情報などが、詳細に記載されていて、慰謝料請求、離婚のための示談や裁判を進めるに当たり、最も強力と言える重要な証拠になります。

探偵に証拠を集めてもらうべき5つの理由

不貞行為の証拠収集は、自分で行う方法と探偵に依頼する方法があります。自分で行う場合は、時間や手間、心身の負担、調査の難しさなどのデメリットがあり、探偵に依頼する場合は、金銭的な負担などのデメリットがあります。ここでは、探偵に証拠収集を依頼するメリットを5つ解説します。

調査期間が短縮できる

探偵に依頼する大きな理由に、調査期間が短縮できることがあります。探偵は、不貞行為の調査に慣れています。専門的な技術や機材を持っており、知識や経験も豊富です。そのため、自分で証拠収集するよりも効率的に調査ができるため、調査期間が短縮できて、調査に必要な労力も減ります。調査が早く終われば、不貞行為の事実が早く分かり、慰謝料請求や離婚の手続きも始められて、新しい人生に向けて前進することができます。

精神的な負担が軽減できる

探偵に依頼する大きな理由に、精神的な負担が軽減できることがあります。自分で証拠収集する場合、配偶者や不貞相手に気付かれないよう演技や調査をする、言動を監視する、尾行する、時間とお金をかけるなどの必要があります。これは心身に大きなストレスがかかる行為で、冷静な判断や行動ができなくなる可能性があります。また、証拠を集める過程で配偶者の不貞行為を目の当たりにすることもあり、精神的なショックを受ける人も多くいます。探偵に依頼すれば、探偵がクッションの役割を果たし、負担が軽くなります。

配偶者や不倫相手にバレない

探偵に依頼する大きな理由に、配偶者や不倫相手にバレないことがあります。自分で証拠を集める場合、顔を知られているため尾行などに気付かれやすく、証拠を押さえられないよう行動するようになる、証拠を隠滅する、不信感で夫婦関係がさらに悪化する、暴力や脅迫で調査を妨害するなどの可能性があります。探偵は調査のプロで、不貞行為の当事者に気付かれずに不貞行為の調査をすることができます。そもそも調査対象者と面識がないため、気付かれにくい面もあります。

慰謝料をしっかり請求できる確かな証拠が手に入る

探偵に依頼する大きな理由に、慰謝料請求や離婚に必要な証拠が収集できることがあります。自分で証拠を集める場合、証拠の質・量・要件が十分でないことも多く、不貞行為の事実はあるのに証明できず、慰謝料の額や成否に影響するということも起こり得ます。知識や経験の豊富な探偵に依頼すれば、法的に有効な証拠を確実に十分に収集でき、その調査報告書は不貞行為の証拠として非常に強力です。自分では難しい、不貞相手の個人情報も手に入る可能性が高いです。

また探偵は、探偵業法の規定により合法的に尾行や張り込みができ、関連法にも精通しています。調査過程で、プライバシーの侵害などの不法行為を避けるため、せっかく集めた証拠が無効となったり、配偶者と不貞相手に逆に訴えられたりすることもありません。

提携している有能な弁護士を紹介してもらえる

探偵に依頼する大きな理由に、提携している有能な弁護士を紹介してもらえることがあります。探偵は、浮気や不倫、不貞行為、慰謝料請求、離婚の示談や裁判の手続きに詳しい弁護士と提携していることが多いです。探偵の調査が終了した後は、その後の手続きについて紹介された弁護士に相談できます。提携先のため調査内容の共有などもスムーズに行われます。弁護士に相談することで、専門的なアドバイスやサポートを受けられるため、自分で行うよりも確実で有利に進めることができます。

不貞行為の証拠が集まったら方向性を定めよう

不貞行為の証拠収集が十分できたら、次の段階へ進みましょう。配偶者との今後の関係について、方向性を定める必要があります。

配偶者と話し合って今後について決める

まずは、配偶者とお互いの今後について話し合うことが必要です。話し合いでは、不貞行為の証拠を提示して配偶者に不貞の事実を認めさせることが重要です。また、不貞関係の解消、再構築、慰謝料請求、別居、離婚など、今後どうしていきたいかという自分の希望や考えも、誤解のないようにしっかりと伝えましょう。もちろん相手の意見もしっかりと聞く必要があります。

どの証拠をどのタイミングで出すと効果的か、開示しない方がいい情報、今後の希望の伝え方などについて、弁護士や探偵に相談すれば、専門的なアドバイスをもらうことができます。話し合いをする際は、感情的にならないこと、喧嘩腰にならないこと、暴言・暴力をしないこと、できるだけ第三者に立会ってもらうことに注意してください。

離婚が決まったら財産分与や慰謝料について決める

話し合いの結果で離婚することが決まった場合は、財産分与や慰謝料について決めることが必要です。話し合いで合意に至ることもでき、合意に至らない場合は、示談や裁判など第三者の力も借りられます。

慰謝料は、不貞行為によって配偶者に与えた精神的・肉体的・社会的・金銭的苦痛への賠償金として、有責配偶者と不貞相手の一方または双方に請求できるものです。慰謝料の額は、不貞行為の回数・頻度・期間、不貞行為に至った経緯、婚姻期間、子どもの有無や年齢、不貞相手の立場や年齢、配偶者の収入や社会的地位、社会的な影響や精神的な苦痛の大きさ、不貞行為による婚姻生活への影響の有無、不貞当事者の態度などによって変わります。数十万円、数百万と幅があるため、法的に有効で質・量共に十分な証拠を提示して、不貞行為の事実と損害を証明する必要があります。

財産分与は、夫婦が協力して作り上げた財産を公平に分配することです。財産分与の額は、原則として1:1の割合となりますが、不貞行為を原因とする離婚の場合は、慰謝料的財産分与として被害者側が有利になるように考慮され、6:4または7:3などの割合にすることも可能です。個々の状況により異なりますので、弁護士に相談して専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。

離婚しない場合も慰謝料は請求できる

慰謝料は、有責配偶者と不貞相手に与えられた苦痛に対する賠償金です。離婚を選択しなかった場合でも、当然の権利として慰謝料の請求は可能です。そのためにも、不貞行為の事実を法的に証明できる証拠を、適切な時期に収集しておきましょう。結果的に示談や裁判などが必要なかったとしても、証拠は自分の身を守る非常に大切な武器となります。

不貞行為が発覚した場合、離婚が最善の選択とは限りません。怒りや悲しみに任せて、生活の保障もないままに離婚するよりも、婚姻関係を維持したまま、経済的自立や生活の立て直しを図ったり、子どもの成長や自立を待ったりする方が、結果的に良いというケースもあります。お互いへの理解や配慮が足りないことが原因の不貞行為だった場合は、もう一度、お互いへの信頼を取り戻す努力をして関係修復を図る道もあります。夫婦セラピーやカウンセリングなどを受けるのもいいでしょう。

探偵の調査後に弁護士へ相談、その後離婚裁判となった事例

探偵への調査依頼、弁護士への相談を経て、離婚裁判に至った事例をご紹介します。※なお守秘義務に反しないよう、内容の一部に改変を加えております。

調査依頼者：妻Aさん

調査対象者：夫Bさん、不貞相手Cさん

AさんとBさんは、高校生から大学生の子どもを三人持つ50代の共働き夫婦です。妻Aさんは、夫Bさんの不倫を疑い、探偵事務所に調査を依頼しました。Bさんの会社での地位や仕事内容、給与などに変更がないにもかかわらず、仕事を理由に帰宅が遅くなったり、今まではなかった地方への出張が入るようになったためです。AさんがBさんを観察するようになると、他にも怪しい言動がたくさんありました。

探偵は、BさんがCさんという既婚者の同僚と職場不倫をしていることを確認しました。同僚であるため不信感を抱かれにくいと考えたのか、二人は昼夜を問わず頻繁に堂々と行動を共にしていたため、証拠の収集は容易でした。自家用車を社用車として使っていたため、Aさんの協力のもと車にドライブレコーダーも設置できました。デートしている様子、業務時間中にホテルや自宅に出入りする様子などを収めた写真や動画、GPSの記録などの証拠を確保して、Aさんに調査報告書を提出しました。

Aさんは離婚を決意し、探偵から紹介された弁護士に相談しました。Bさんに慰謝料と離婚を請求しましたが、Bさんは不倫を否定し、慰謝料の支払いにも離婚にも応じず、話し合いすら拒絶しました。Aさんは、弁護士の助言を受けて、Bさんに対する離婚、BさんとCさんに対する慰謝料を求める訴訟を起こしました。裁判所は、探偵の調査報告書や証拠、Aさんが自宅で集めた証拠をもとに、BさんとCさんの不貞行為の事実を認め、Aさんの慰謝料と離婚の請求を認めました。AさんはBさんと離婚し、Bさん、Cさんから多額の慰謝料を受け取りました。

まとめ

この記事では、不貞行為を詳しく解説し、配偶者の不貞行為が発覚した場合に行うべきことや証拠の集め方、専門家に依頼するメリット、探偵への調査依頼・弁護士への相談・慰謝料請求や離婚裁判について、事例を挙げて紹介しました。

配偶者の不貞行為というものは、被害者側に大変な精神的・肉体的・社会的・金銭的苦痛を与える許しがたいものです。我慢したり、見て見ぬふりをしたりする必要はありません。不貞行為に関する正しい知識と対処法、法的に有効かつ十分な証拠が、あなたの心身と生活を守ります。お悩みの際は一度専門家にご相談ください。この記事が悩みを抱える方に参考になれば幸いです。

※こちらからは浮気調査の徹底解説記事が確認できます→浮気調査の全体像～調査の基本から探偵に依頼する際の注意点まで【徹底解説】