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別居中にしてはいけないこと|夫と離婚前の別居をする場合の注意点とは

離婚を進める手段として別居を選ぶことがありますが、離婚に進む場合でも復縁を選ぶ場合でも、夫婦関係を悪化させたり、離婚の条件が不利になったり、トラブルに巻き込まれたりしないために、別居前にすべきこと、別居中にすべきこと、してはいけないことがあります。離婚にとって別居はメリットもデメリットもあります。

この記事では別居をするに当たり、事前に知っておく必要があることを詳しく解説し、最善の選択ができるような情報を提供します。子連れで別居するときに注意すべきことや、別居から離婚に至った事例も紹介していますので別居や離婚を考えている方や別居中の方はぜひ参考にしてください。

夫との別居中にしてはいけないこと

同居生活を送っていると、意見や習慣などの違いが生じるのは当たり前です。夫婦だけに限らず親子でも親友でも相手が誰であるかに限りません。その違いを話し合いなどで解消できない時に、別居という手段を取る人もいるでしょう。

冷静になるための別居、離婚を前提とした別居、家事から解放されるための別居など、いろいろな状況があると思いますが、別居中にしてはいけないことや、逆に別居前や別居中にするべきこともあります。感情的になって突発的に行動に出ないことが大切です。ここからは婚姻関係にある夫婦を想定して、別居中にしてはいけないことを解説します。

他の男性と恋愛関係になる

まず、夫との別居中には、他の男性と恋愛関係になることは避けなければなりません。ようやく苦しい同居生活から離れられたという安心感から、他の男性に優しくされたい、恋愛を楽しみたいという気持ちになることもあるかもしれませんが、もう少しの我慢が必要です。たとえ、夫の浮気や不倫が原因の別居だったとしても、です。

別居中でも離婚成立前の場合は、夫婦として法的な義務があります。他の男性と性的関係を持ったりすると、不貞行為とみなされて夫から慰謝料を請求される(民法709条、710条)、自分から離婚請求ができない、子どもの親権が取れないなど、不利な立場になる可能性があります。復縁を考えている場合は、その可能性も低くなるでしょう。

夫に嫌がらせをする

夫との別居中に、相手に対する嫌がらせ行為もやめましょう。自分が受けた嫌がらせへの報復行為のつもりだとしても、同じことをやり返すのは得策ではありません。

夫に対して暴言を吐く、暴力をふるう、ストーカー行為をする、夫の職場、実家や親戚、友人などに迷惑行為を行うなどの嫌がらせは、夫の人格権などを侵害する不法行為にあたり、損害賠償請求される(民法709条、710条)可能性があります。こちらも同様に、復縁を考えている場合は、その可能性が低くなるでしょう。

夫からの理不尽な要求に応じる

夫との別居中に、夫の理不尽な要求に応じてはいけません。自分の意志や感情に反して要求に応じてしまうと、精神的苦痛やストレスを受け、別居してもなお、夫からの支配から抜け出せなくなる可能性があります。

また、財産や生活など現実面においても、不利益を被る恐れがあります。別居後は共有財産を各々管理することになりますが、共有財産を不当に使い込んだり、財産分与や慰謝料の条件を夫に有利になるように仕向けたりすることも考えられます。子どもの親権を取られる、養育費の支払いを拒否されるなどの、不利な条件を突きつけられることもあります。

なお、理不尽な要求に応じたことが詐欺や脅迫によるものと認められれば、取り消し、無効にすることができます(民法96条、121条)。

子どもを無理やり連れ戻す

夫との別居中に、自分の別居先に子どもを連れて行く場合は、慎重に行う必要があります。最優先にすべきは子どもの利益で、子どもの安定した養育環境を守ることが大切です。

子どもが夫のもとにいる場合、夫の同意なく子どもをむりやり連れ去ると、未成年者略取罪(刑法224条)に当たり、3月以上7年以下の懲役に処せられる可能性があります。夫が同意のない連れ去りを証明することができれば、慰謝料を請求される(民法709条、710条)可能性があります。

夫の面会交流の妨害に及んだ場合は、夫の面会交流権の侵害(民法766条1項の準用)にも該当します。さらに、子どもの連れ去りと認められると、離婚時の親権争いでも「親権者として不適格」とされることもあります。

ただし、同意のない連れ去りでも、夫のDVや虐待のため子どもの生命や身体に危険が及ぶ場合、夫が適切な監護・養育をしないため子どもの福祉にかなわない場合は、この限りではありません。

離婚のために別居するメリット

離婚をするために別居するケースは多くありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。ここからは離婚のために別居するメリットを見ていきましょう。

同居のストレスがなくなる

長時間にわたって同じ空間で過ごしていると、往々にして意見の食い違いが生じます。相手への不満や不安、喧嘩や暴言・暴力があっても、空間的・時間的に逃げ場がないことも多く、ストレスをためる原因になります。この強いストレスから、睡眠障害や頭痛・胃痛、うつ病などを発症することもあり得ます。

別居により物理的に離れることで、夫と顔を合わせる時間が減り、直接ぶつかり合う場面も減り、ストレスが軽減します。それと同時に自分のための時間も増え、自分の心身のケア、楽しみや将来のための学びにエネルギーを注ぐことができます。前向きになることで、関係が改善されることもあるでしょう。

冷静に離婚の準備を進められる

同居による衝突が続くと、元来穏やかな人でも感情のアップダウンが激しくなることがあり、そのような状態になると、離婚についても冷静な判断ができなくなります。

別居することにより冷静さを取り戻し、その場の勢いや感情で重要な決断をせずに済むことで、離婚が望まない形になってしまう、準備不足で生活や養育に困る、慰謝料・財産分与・親権などを適切に取得できなくなるなど、意図しない結果を避けることが出来ます。

具体的には、夫の収入や共有財産を把握して相手に正しく要求できるという金銭的メリットや、夫の不貞行為やDV・モラハラがあれば、その証拠を集めて責任の所在を明らかにするという法的メリットがあります。また、別居期間が長くなれば、離婚に反対していた夫でも、協議離婚や調停離婚に応じる可能性が高くなります。

DVやモラハラから自分の身を守れる

夫からの暴言・暴力、モラハラや経済的・性的DVなどの被害がある場合、夫と別居することは緊急かつ必須の対応です。ストレスや精神的な病に侵されるだけでなく、重傷・重体・死亡にまで至る危険があります。

別居により安全な環境に身を置けば、これらの被害の軽減や防止ができるようになり、自分の素晴らしさを再認識して、自分への信頼を取り戻せるようになっていくでしょう。また、夫に対する損害賠償請求ができるという金銭的メリットや、夫のDV・モラハラの証拠を提出したり、保護命令の申立てなどの法的措置を取ったりできるという法的メリットもあります。

傷付けられた期間が長くなるほど、心身の回復にも時間がかかる場合があります。できるだけ早く、この状況から逃れることが大切です。

離婚のために必要な書類や証拠を見られずにすむ

同居していることは、特に秘密裏に離婚の準備を進めたい場合はデメリットにもなり得ます。離婚を考えていること、不貞行為や暴力の証拠集めをしていること、弁護士に相談していることなどを夫に知られてしまうと、思うように動けなくなったり、夫が自分に有利になるように先回りして対策をとってきたり、最悪の場合、証拠を捨てたり書類を書き換えたりすることも考えられるからです。

そのような場合にも別居することで、落ち着いて離婚の準備を進めることが可能となります。慰謝料や離婚の条件に影響する写真や動画などの証拠、弁護士など専門家に相談して作成した離婚協議書・調停申立書・示談書、手続きのために取り寄せた戸籍謄本などの書類を安全に保管しておくことができます。これらを失うと、本来得られるはずの利益や権利が得られなくなる可能性もありますので注意してください。

離婚への意思が伝わるため離婚に応じる可能性が高まる

同居したままでいると、離婚したいと思って夫に伝えても、理解してくれない場合があります。そもそも口先だけで本気ではないと思われたり、本気だったとしても説得すれば諦めるし、心理的・経済的理由でできないと思われたりすることもあるでしょう。

別居を決断することで、離婚の強い意思が夫に伝わります。説得や泣き落とし、妨害から逃れることもできます。弁護士を通して書類を送ったり、意思を伝えたりすれば、真剣に離婚を決意していることが嫌でも分かり、夫も観念して、離婚に進む道を受け入れる可能性も高まります。別居をして別々の生活をするようになると、夫婦としての実態がなくなっていき、長期化していくと別居自体が離婚原因になることもあります。

離婚のために別居するデメリット

前項では別居するメリットを確認しました。ここからはデメリットを見ていきましょう。

復縁が難しくなる

「別居は離婚への第一歩」と言われるように、別居後の復縁は難しい傾向にあります。冷却期間を持つために別居を始め、片方または双方が復縁を望んでいたのに、それが却って離婚を早める結果となる、ということもあるのです。

例えば、別居によりお互いへの関心が薄れ、解放感も相まって、他の異性と関係を持つ場合があります。別の異性と接することで、新しい恋愛への関心が高まって離婚への意志を強めることもあれば、相手が自分以外の異性と交際している事実を知り、怒りを覚えたり信頼感をなくしたりして、離婚を決意することもあります。

なお、不貞行為に及んでいた場合は、自分から離婚請求ができなくなる可能性があります。別居により浮足立って、本来の目的を見失わないようにしましょう。

経済的に困窮する場合がある

婚姻関係にある夫婦の場合は、別居中であっても扶養義務があり(民法752条)、収入の多い方が少ない方に、別居中の生活費を払う必要があり、これを婚姻費用といいます。しかし、別居をすることで二重生活になり、家賃や生活費が双方にかかるようになることから、お互いの経済的負担が大きくなり困窮することがあります。

例えば、これまでの収入では二重生活の費用を賄えない、夫が婚姻費用を払わない、妻が仕事をしていない、または収入が低い、家事の負担が増え仕事をする時間が減って収入も減る、夫婦の共有財産を使い込んでしまうなどのケースがあります。

やむにやまれぬ状況で別居する場合もあると思いますが、経済的な負担により貧困に陥ったり、不安に襲われて心理的に追い詰められたりすることのないように、収入が十分でない場合は就職や転職をする、別居中の婚姻費用を夫が払わない場合は、裁判所に仮処分の申立てをする、公的機関や支援団体に相談するなど、対策を講じましょう。

離婚前の別居は義務違反になる場合がある

婚姻関係にある夫婦は、同居する義務があり(民法752条)、別居はこの同居義務に違反します。ただし、別居の理由が正当な場合は、この限りではありません。例えば、夫の不倫、暴言・暴力やモラハラ、アルコール・ギャンブル・買物などの依存症、窃盗・痴漢などの犯罪行為などの問題を抱えている場合です。

しかし、別居の理由が正当でない場合は、慰謝料を請求される可能性があります。夫が別居に同意しておらず同居を求めてきた時に、別居の理由や期間について説明できるようにしておく必要があります。また、別居中も音信不通になるのではなく、復縁や離婚に向けて話し合いや手続きを冷静に進めることが大切です。

夫に有責行為があった場合の証拠が集めにくい

離婚をするに当たり、夫に有責行為があった場合は、夫に対して慰謝料を請求することができます。有責行為には例えば、浮気や不倫、暴言や暴力、モラハラ、生活費を払わない、病院に行かせない、家事・育児を全くしないなどがあります。

しかし、別居することで、夫の行動や発言を監視したり、持ち物や服装、匂いを調べたり、習慣の変化に気付いたり、音声・画像・動画などで記録したりすることが難しくなるため、有責行為の証拠を集めにくくなります。また、夫が有責行為をやめたと主張した場合に反論しにくくもなります。

別居前にできるだけ多くの証拠を集めることが重要です。別居中に夫の有責行為が続いている、または続いていると思われる場合は、探偵などに証拠収集を依頼するのもいいでしょう。

数週間以上別居した場合は家に入れなくなる場合がある

別居を始めて数週間以上経過した後、家に残っている夫に無断で家に入ると住居侵入罪(刑法130条)に該当する可能性がでてきます。また、夫が家の鍵を変えたり、家の所有権や占有権を主張したりする可能性もあります。つまり、別居後に元の家に入れなくなる可能性があるということです。

家に入れなくなってしまうと、家に置いてきた貴重品、洋服、子どものもの、思い出のものなどを取りに行けなくなります。離婚や慰謝料請求に必要な、夫の不貞行為やDV・モラハラの証拠や書類なども取り出せないということです。そのことにより、夫への不満や不安が募ることもあります。

別居中に家に入る必要がある場合は、夫に連絡して許可を取るのが最も穏便な方法です。それが難しい時は、必要なものを郵送で送ってもらう、弁護士に間に入ってもらう、弁護士に立ち会ってもらう、家に入る権利を主張して裁判所に仮処分の申立てをするなどの方法もありますが、まずは、別居前に必要なもの、大切なものをできるだけ持ち出しておくことが大切になります。ただし共有財産を持ち出す場合は注意しましょう。

離婚に向けた別居の前にしておくこと

離婚を前提とした別居を決意した場合、その時の感情に任せて別居してしまうと、デメリットや想定外のことなどが起こり得ます。前向きに、安心して、離婚の準備を進められるように、必要な準備を整えてから別居に踏み切りましょう。ここからは別居の前にしておくことを解説します。

財産を把握する

離婚時の財産分与や慰謝料請求に影響するため、夫婦の財産を正確に把握することはとても重要です。夫が財産を隠したり、移動したり、減らしたり、不利な条件を押し付けてくる可能性があるため、別居前に確認して法的に有効な証拠をとっておく必要があります。

具体的には、夫婦の財産に関する書類や証拠のコピーを取ったり、写真や動画で撮影したりします。証拠として無効と判断される可能性もあるため、複数の方法で証拠を確保しておいた方が確実です。そして、実家や銀行の金庫など、夫の手の届かない安全な場所に保管します。

一連の作業は、証拠を確保する前に対策を取られないように、夫に気付かれないよう秘密裏に行いましょう。また、証拠を確保した後、別居の意思を伝える前に共有口座を凍結する、共有のクレジットカードの限度額を下げるなども、財産を守るために有効な手段です。確保すべき書類・証拠には、次のようなものがあります。

・銀行口座や証券口座の通帳・取引履歴・残高証明書・金融機関の通知書

・不動産の権利書・登記簿謄本・固定資産評価証明書・査定書

・自動車の車検証・査定書

・生命保険・学資保険などの証券・解約返戻金証明書・保険会社の通知書

・年金の契約書・明細書

・給与やボーナスの明細書・源泉徴収票

・退職金の見込み額証明書・退職金規定

・貴金属や宝石、自宅に保管している現金などの貴重品

・贈与や相続に関する書類

・住宅・自動車ローンなどの借金や貸金の契約書・領収書・残高証明書

など

生活費を確保する

別居を開始するとすぐに影響が出るため、別居前に生活費を確保しておくこともとても重要です。

別居をしたものの経済的に困窮して、不本意にも別居を解消しなければならなくなる、ということも考えられます。可能であれば別居前に生活費について夫と話し合っておきましょう。夫の収入の方が多い場合は、夫側に婚姻費用の支払い義務がありますが、支払いを拒否したり、金額を下げたりする可能性があるため、別居前に証拠をとっておく必要があります。

具体的には、自分の収入・支出を正確に把握し、別居後の生活費の予算を立てます。別居後に夫婦の収入・財産に増減があった場合は、生活費の支払い額にも影響する場合があるので、注意してください。夫に婚姻費用の支払いを求める場合は、次のような証拠を確保しておきましょう。

・夫婦の就労状況・収入証明・給与明細

・夫婦の共有財産の証明

・夫婦の生活水準や支出の証明

・子どもの養育費・教育費などの費用や支出の証明

・自分や子どもの健康状態・医療支出の証明

また、自分の収入や夫からの婚姻費用以外に、別居中でも申請可能な助成金もあります。生活費を確保するために、必要に応じて有効活用するといいでしょう。

・児童手当(中学生までの子どもがいる場合)

・児童扶養手当(離婚後のひとり親の場合)

・生活保護(生活の目処が立たない場合)

住むところを確保する

住むところが確保できなければ、別居は実現できません。生活費の確保と同様に、住居の確保はとても重要になります。

離婚をする際に子どもの親権を取りたい場合は、別居時に子どもを連れて行き一緒に暮らすことが重要であるため、養育環境としての住居を確保することが必要になります。夫に婚姻費用の支払い義務がある場合は、その中に住居費も含まれますが、こちらも別居前に証拠をとっておく必要があります。

具体的には、住居の状況や条件について、次のような点について検討し、別居後の住宅費の予算を立てます。なお、夫に婚姻費用の支払いを求める場合でも、別居後に夫婦の収入・財産に増減があった場合は、住宅費の支払い額にも影響がある場合があるので、注意してください。

・現在の住居に残るか、新しい住居に移るか

・賃貸するか、購入するか

・子どもが通える保育園や学校があるか、転校が必要か

・子どもの登園・通学方法をどうするか

・契約条件や入居時期

・場所、広さ、設備など

・現在の住居の解約や引越をどうするか

など

離婚の意志が固い場合は、住民票を移動することをおすすめします。移動させないと、地域の支援が受けられない、転校ができない、各種手当が受け取れない、公的機関からの郵便物が受け取れない、などの不利益が生じる可能性があります。DV・モラハラ・児童虐待などの被害を受けていて、転居先を知られると心身に危険が及ぶ恐れがある場合は、住民票の移動の際に、閲覧制限の手続きをするといいでしょう。

別居を始める日を決める

財産を把握し、生活費や住居の目途が立ったら、別居する日を決めます。別居開始日を決めて伝えることは、別居の事実と期間を証明するために重要です。別居開始日によって離婚の原因を把握できる場合もあります。別居の期間が長い程、離婚の意志が固いとみなされ、離婚手続きも進めやすくなります。

具体的には、別居を決めたら、できるだけ早い時期に設定して夫に伝えます。また、別居開始日を証明できるように、次のような証拠を確保しておきましょう。

・別居の意思を伝えたメール・手紙

・別居開始日に言及した家族や友人とのメール・LINE

・別居開始日が分かる新しい住居の契約書・領収書

・別居開始日が分かる現在の住居の解約書・領収書

・別居開始日が分かる引越し業者の契約書・領収書

・別居開始日が分かる子どもの保育園・学校の書類・メール・手紙

家から持ち出すものを確認する

現在の住居を一度離れたら、二度と立ち入れないかもしれません。夫に勝手に処分される可能性も考慮して、別居の際に持ち出すべきものをリストアップし、忘れ物がないようにしましょう。

具体的には、別居後に必要なものを検討し、家から持ち出すものをリストアップします。また後のトラブルを避けるために、持ち出したもの・持ち出していないものを明確にし、写真や動画などで記録に残して、夫や家族に伝えておくといいでしょう。

なお、夫の特有財産は持ち出してはいけません。共有財産は、できるだけ相手の同意を得て持ち出すようにしましょう。また、あれもこれもと欲張りすぎると、準備段階で夫に勘付かれたり、妨害されたりする可能性もありますので、必要性が低いものについては諦める姿勢も大切です。持ち出すべきものには、例えば次のようなものがあります。

・自分の特有財産

・運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの身分証明書

・健康保険証、母子健康手帳、おくすり手帳

・現金、銀行や証券会社の通帳、保険証券、年金手帳

・共有財産の登記簿謄本・権利書

・贈与・相続の証明書

・貴金属、宝石などの貴重品

・卒業証書、資格などの証明書

・子どもが特に大切にしているぬいぐるみやおもちゃ、毛布

・子どもの必需品、衣類、学用品

・家族写真などの思い出

・夫の不貞行為やDV・モラハラの証拠

・離婚や慰謝料請求に必要な書類

など

離婚を進めるための段取りを決める

離婚の手続きを滞りなく進めるために、別居前に予め段取りを決めておくことも重要です。別居を開始すると、夫と顔を合わせる機会も減り、連絡にも時間がかかるようになります。別居の意思を伝える際に、離婚の意思もあることを夫に伝え、段取りについて話し合っておくといいでしょう。

具体的には、離婚に関する話し合いや手続きのために、連絡方法や頻度、話し合いの場所や時間、話し合いの内容などを決めておきます。これを決めておかないと、別居後に連絡がとれなくなる、話し合いができなくなる、話し合いが長引く、条件が不利になるなどの可能性があります。

特に、夫が離婚を望んでいない場合は、意図的にそのような状況に持ち込まれることもありますので、段取りはできるだけ具体的に決め、合意書など書面に書き残して共有することをおすすめします。

離婚に向けた別居中にするべきこと

別居を始めたら、離婚に必要な証拠収集や手続きを進めましょう。必要事項の見落としや漏れをなくすため、弁護士や探偵などの専門家に相談することも検討するといいでしょう。ここでは、証拠集めに絞って、別居中にすべきことについて解説します。

夫に浮気などの有責事項がある場合は証拠を集める

別居中の夫に、浮気や不倫などの有責事項があると考えられる場合は、証拠収集が必須です。十分な証拠があれば離婚の原因として認められ、慰謝料請求や親権確保においても、有利に働きます。逆に、有責行為の事実があると分かっていても、証拠が不十分な場合、離婚訴訟において、離婚や慰謝料の請求が認められなかったり、慰謝料の金額が低くなったりする可能性や、子どもの親権や養育費の金額に影響する可能性もあります。

証拠集めには探偵への相談がおすすめ

証拠収集には、自分で行う方法と、専門家に依頼する方法がありますが、金銭的に可能であれば後者をおすすめします。

浮気や不倫、離婚に詳しい探偵であれば、どのような証拠をどのくらい確保すれば、有利に離婚を進められるか熟知しています。探偵業法に基づいて、特別に許された方法で証拠収集するプロであり、専門的な技術や経験があります。ただ証拠を集めるだけでなく、示談や裁判の際に必要になる、法的に有効な証拠を提供することができます。

探偵は、夫の行動を尾行し、浮気や不倫の現場を張り込んで、音声・写真・動画などを記録します。その証拠は専門技術で収集された裁判で有効と認められる物証となります。また探偵は、豊富な経験に基づいて、秘密厳守の上で、夫婦関係や復縁や離婚手続きへのアドバイスもできます。

ただし、探偵社の選定は慎重に行いましょう。探偵との契約内容や調査プラン、報告書サンプルにはよく目を通し、必要な証拠を提供できるか、真摯に対応してくれるのかなどを見極める必要があります。

もし自分で証拠収集する場合は、その方法によってはプライバシーの侵害など違法行為になる可能性があることを考えなくてはなりません。該当した場合は、刑事訴訟、損害賠償や慰謝料請求の対象となるため、注意が必要です。せっかく収集した証拠も、有責事項を証明するには不十分だったり、法的に無効だったりすることもあり得ます。

さらに、別居中に遠隔で証拠収集することは、時間の確保も難しく、心身の負担も大きくなるため、生活への影響も考えられます。尾行などを夫に気付かれて、対策を取られたり逆上されたりする危険もあるので、気を付ける必要があります。基本的には素人が自分で専門的な調査を行なう事は、ほぼ不可能と思った方が良いでしょう。

※こちらから浮気調査の専門技術の解説記事を確認できます→探偵の浮気調査の手法・技術を公開!

証拠が集まったら離婚調停を相談しよう

証拠収集ができたら、離婚調停の申立てに進みましょう。離婚調停とは、家庭裁判所に夫婦双方が出席して夫婦の離婚問題に関する話し合いをする場で、調停委員という第三者の仲介を通し公正に解決する手段です。双方の代理人弁護士が同席する場合もあります。

離婚の可否だけでなく、財産分与や年金分割、婚姻費用、有責行為に対する慰謝料、子どもの親権や面会交流、養育費などについても解決を図ることができます。離婚調停で、有責事項の証拠を提出し、離婚に有利な条件を主張することも可能です。

離婚に十分な証拠が揃っていても、夫と直接の話し合いで解決を図る場合は、思うように合意や手続きが進まない可能性があります。夫が離婚に合意していない、有責事項に反論している、妻の夫婦としての義務違反を主張しているなどの場合、いつまでも平行線のままということもありますし、お互いに感情的になって、話し合いにすらならないということもあり得ます。

そのような場合は、二人きりではなく仲介者を立てることで、離婚が穏便に迅速に進むことも多いでしょう。別居の期間が長すぎると、慰謝料を請求される可能性もありますので、6ヶ月以内を目途に解決するように手続きを進めると良いでしょう。

子連れで別居するときに注意すべきこと

別居を決断する時に、夫婦の間に子供がいることはとても多いです。夫婦だけであれば、条件面が折り合えば淡々と手続きを進められることもありますが、子どもにとっては、自分がどうすることもできない理由で置かれている状況が大きく変えられることになるので、それに対する特別なケアや対応が必要になります。

子どものメンタルケア

子どもは夫婦双方にとって大切な存在であり、子どもにとっても両親は大切な存在です。

子どもは両親の所有物でも付属物でもなく、好き勝手に振り回していい存在でもありません。子どもは物心が付く前であっても、とても繊細で別居や離婚による環境の変化に敏感です。激しいショックを感じたり、過剰なストレスによるトラウマが生まれたり、精神的な成長や安定に影響を及ぼしたりすることもあります。

親権者である夫婦は、子どもにとって最も平穏な環境を整え、できるだけ早く新しい環境に馴染めるように、養育環境、親権や面会交流、養育費などについて十分に話し合いをすることが重要です。双方で解決しない場合は、専門家に相談することも検討しましょう。子どものメンタルケアは、別居の時点で始める必要があり、例えば次のような方法があります。

・子どもに対してはっきりと愛情表現をする

・子どもとのコミュニケーションをより密にする

・子どもが自分の感情を抑えずに、安心して安全に親や周囲に伝えられる環境を作る

・子どもの感情や意見を尊重する

・いつでもどんな時でも、両親は子どもの味方であると伝える

・子どもへの愛情は、別居や離婚をしても両親共変わらないと伝える

・子どもに対して、もう片方の親の悪口を言わない

・子どもが同居していない親と面会交流する時には、笑顔で気持ちよく送り出す

・子どもの年齢に応じた伝え方で、別居や離婚の理由を説明する

・子どもが別居や離婚などに関して知りたいことがあれば、言葉を選んで、できる範囲で伝える

・子どものせいで別居や離婚したのではないと伝える

・子どもの前で、親の感情を爆発させたり押し付けたりしない

・心理カウンセラーや支援団体の助けを借りる

子どものメンタルケアの重要性は前述したとおりです。もし怠ると、次のような問題が起こる可能性があります。

・自尊心や自己肯定感、自信を喪失する

・自分のせいだと思い、罪悪感や自責の念を覚える

・親に対する反抗や反発、不信感を覚え、親子関係がうまくいかなくなる

・友達や先生との人間関係がうまくいかなくなる

・恋愛や結婚に否定的な感情を覚え、異性関係に消極的になる

・学業成績が低下する

・異常行動をするようになる

生活環境の整備

別居をすることで、子どもの養育環境に影響を及ぼすことは避けられませんが、子どもの利益を最優先に考え、親権者としての責任を果たす姿勢がとても重要です。

生活環境が不安定になると、子どもの心理的安定がさらに損なわれ、心身や生活に悪影響になります。子どもの生活環境の整備には、例えば、次のような方法があります。

・新しい住居は、できるだけ安全で快適で便利な場所に構える

・新しい住居は、友達や親戚など親しい人と行き来できる場所に構える

・子どもの通う学校や習い事は、できるだけ変えない

・子どもの趣味や強い関心を持っていることを、できるだけ続けさせる

・子どもの生活リズムを、できるだけ変えない方法を選ぶ

・やむを得ず環境が変わる場合は、子どもの意見や希望、適正などを考慮して決める

・食事、睡眠、運動など、子どもの生活習慣を規則正しく保つ

生活環境の整備を怠ると、次のような問題が起こる可能性があります。

・健康状態が悪化し、病気やケガをしやすくなる

・精神的に不安定になり、睡眠障害やうつ症状などが現れる

・学習機会や成長意欲が損なわれ、学力や能力が低下する

・自尊心や自己肯定感が損なわれ、生きる意欲が低下する

・コミュニケーション能力が低下し、人間関係が悪くなる

養育費用の確保

子どものための養育環境をできるだけ良いものに整えるためにも、養育費用を確保することも必須です。夫婦間で養育費の金額や支払い方法などについて話し合い、合意に至ったら、契約書や公正証書などで必ず文書として残しましょう。

非親権者の養育費の支払いが滞った場合は、弁護士や裁判所を通して、期日内の支払いを請求します。養育費の受け取りが不可能な場合は、国や自治体の制度や支援を利用することも可能です。

また、児童手当の受給者を親権者に変更し、児童扶養手当の受給を申請して、助成金も受け取ることができます。子どものためのものですので、受け取る権利があるものは、遠慮せず、諦めず受け取りましょう。養育費用の確保を怠ると、次のような問題が起こる可能性があります。

・子どもの生活水準が低下し、貧困や格差に苦しむ

・子どもが十分な食事を取れなくなり、成長の妨げになる

・子どもの医療費用が不足し、病気や怪我を適切に処置できなくなる

・子どもの教育機会が低下し、将来の可能性が狭められる

・子どもが親の経済的困窮を感じ、自分の希望や感情を伝えられなくなる

事例

夫と別居を経て離婚した場合の調査事例をご紹介します。※なお、守秘義務に反しないように内容の一部を改変しております。

調査依頼者:妻Aさん

調査対象者:夫Bさん

AさんとBさんは、小学生の子どもを1人持つ30代の夫婦です。Aさんは、夫のBさんの不倫を疑い始めました。Aさんへの態度の変化、外見や匂いを気にするようになったこと、残業や休日出勤、出張の急な増加、Aさんのスケジュールを念入りに確認するようになったこと、その一方でBさん自身のスケジュールは詳しく説明しなくなったことなどから、不審に思い、Bさんを監視するようになりました。Bさんに暴言・暴力の傾向もあったことから、安全を確保するために、まずは子どもを連れてBさんと別居することにしました。

別居を始めてから、AさんはBさんの不倫調査を探偵に依頼しました。Bさんは別居でAさんの監視がなくなったことで、より開放的になり、それまで以上に大胆に不倫行為に及ぶようになりました。探偵は、Bさんへの尾行と張り込みを通して、不倫相手と親密な様子でデートしている場面や、ホテルや自宅で一緒に長時間過ごしている写真や動画を複数回撮影し、法的に有効な証拠を確保しました。

探偵の調査結果を確認したAさんは、Bさんに不倫の事実を知ったことと離婚の意思を伝え、離婚、慰謝料、養育費を請求しました。Aさんは、Bさんとの直接の話し合いで離婚問題を解決することを望んでいましたが、Bさんは証拠を提示しても不倫の事実を認めず、証拠の捏造だ、プライバシーの侵害だと主張したため、双方の主張が対立してしまいました。

そこでAさんは裁判所に離婚調停を申し立て、不倫の証拠を提出しました。裁判所は、証拠は有効であり、証拠収集にあたり探偵がした行為はプライバシーの侵害には当たらないとしました。そしてBさんの不倫を離婚原因として認め、Aさんへの慰謝料と養育費の支払いをBさんに命じました。子どもの親権はAさんに与えられ、Bさんに対して定期的な面会交流を指示しました。

まとめ

この記事では、離婚を前提として別居をするに当たり、気を付けること、すべきことやしてはいけないこと、子どもがいる場合に注意すべきことについて解説しました。

別居や離婚は、大変な精神的・肉体的・経済的苦痛を伴う、人生の大きな決断になり、決断した後にも想定外の問題や苦労が出てくる可能性もあります。事前に調べることが可能な場合は、できるだけ知っておくことで、手続きを円滑に穏便に進めることができるでしょう。この記事を参考に新しい生活が素晴らしいものになる一助となれば幸いです。

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    総合探偵社トリプルエー(以下、弊社)は、個人情報の重要性を理解しその保護を徹底しております。以下プライバシーポリシーを制定し個人情報保護法およびその他法令を遵守することをお約束いたします。

    個人情報の取り扱いについて
    個人情報とは、お客様から提供された情報及び業務に関連する情報、並びに関係者に関する情報のうち、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日、識別番号、記号、符号、画像、音声、その他の記述等により特定の個人を識別できるもの(当該情報だけでは識別ができない場合であっても他の情報と容易に照合することができ、これにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいいます。
    弊社は善良な管理者の注意義務をもって個人情報及び秘密情報等を管理し、それらを保護するために、情報等の漏洩が生じないように必要かつ適切な、合理的予防措置を講じます。個人情報及び秘密情報等について、厳密に秘密を保持するものとし、第三者に開示あるいは漏洩し、また、業務の目的以外に使用いたしません。ただし次の場合を除きます。
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